浦レポ by 浦和フットボール通信

強いチームの勝ち方を示したゲーム 相手の穴を広げる左右の違い【轡田哲朗レッズレビュー/ACLラウンド16ジョホール戦】

(Report by 轡田哲朗)

6-0で勝った磐田戦のスタメンがそのままスライド

浦和レッズは19日にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のラウンド16、ジョホール・ダルル・タクジム(JDT、マレーシア)とのゲームに5-0で勝利した。浦和は今回が8回目のACL出場でそのうち6回で決勝トーナメント進出をしているが、5得点はトーナメントに入ってからでは最多だった。JDTのレベルがどうのこうのと勝った時に相手が弱いと怒ることに意味はないと思うけれども、その勝ち方、勝利に持ち込む試合の作り方が素晴らしかった。

このゲームには13日にジュビロ磐田戦を6-0で勝利したスタメンをそのままスライドした。リカルド・ロドリゲス監督は勝利しているチームをあまり変えない傾向があるけれども、結果が出ているだけでなく「今年のチームはこうなった」に近づいている気はする。プレビューでも少し触れたけれども、オーディションが多くのポジションで終わってチーム内での役割のようなものが見えるようになってきている。これが5月あたりでハッキリしてしまうと違う怖さがあるのだけど、このACLを前に固まってきたのはタイミングとしては良かったのではないだろうか。

JDTは5-2-3になったり、トップ下と2トップのような感じになったり、ダブルボランチのうち1枚がプレスに参加したりと、あまり定型的なだけでなく浦和に対応しようとする気持ちは見えたが、様々な意味で精度を欠いたかもしれない。それでも松尾佑介がPKを獲得して、ダヴィド・モーベルグがとんでもないフリーキックを決めるくらいまでの圧力、浦和の左サイド側に飛ばして大畑歩夢のところを突破に掛かった攻撃をしのぐためと、それを跳ね返して自分たちの方が上だと示すだけの強度を表現するために、コアメンバーが必須だった。

シンプルな右サイドと変化の多い左サイド

浦和はマイボールの時に4-3-3に変化するのをベースに、さらにそこから流動するようになっている。実はこの辺のところは25日に発売のサッカーダイジェストさんで書かせてもらっているので、それまではこの浦レポにある岩尾憲のコメントなどで見てもらうのが良いかなと思うのだけど、話をこの試合に戻す。JDTは21番がトップ下や左のシャドーのようなところから岩尾のところにスライドしつつ、酒井宏樹の進出にフタをしなくてはいけないオーバータスクになっていて、見かねた逆サイドのボランチが1つ前に出てポジションを埋めるような所作もあった。ただ、1つ象徴的だったかなと思えるのは前半34分の場面で、55番の両脇に小泉佳穂と伊藤敦樹がいる状態になり、その55番の選手は「これをどうしろって言うんだよ」と言わんばかりに両手を広げた場面があった。

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