浦レポ by 浦和フットボール通信

不具合を起こした理由の個と組織は両輪 今季を象徴した攻撃の数値【轡田哲朗レッズレビュー/J19節G大阪戦】

(Report by 轡田哲朗)

小泉がサイドハーフでスタメン起用、ガンバはフルスロットルの入り

浦和レッズは2日のリーグ第19節ガンバ大阪戦を1-1で引き分けた。これでリーグ戦の試合数に対して過半数にあたる10試合目の引き分けになったという点で結果に満足するのは難しいが、勝ち点ゼロに終わりそうな試合を勝ち点1で終えたのも事実で、負けるよりは良い結果だった。

このゲームでは小泉佳穂が右サイドハーフに入って、キャスパー・ユンカーが離脱した前線は江坂任と明本考浩が組んで松尾佑介はベンチスタートだった。実際のところ、このメンバー構成は5人いるサイドアタッカーのうち4人がピッチの外にいて試合が始まることを意味するし、それを見ても今季の編成がちょっとアンバランスなことを見た目で明らかにする。ただ、そうした選手構成や立ち位置、システムはこのゲームの前半に起こった不具合の理由のうち半分くらい説明するのかどうかという感があり、それ以上に苦労してしまった部分が垣間見えた。

ガンバは中2日の試合だったので、もう少しコントロールした入りをすることも想定していたけれども、どちらかと言えばスタミナが持つところまでフルスロットルというニュアンスが見て取れた。実際に後半15分過ぎには運動量の崖がきて浦和が一方的に攻め込む展開になったのだけど、追いつくに至ったのは本当に試合終盤だった。オフサイドで取り消しになった2点目がそのまま認められているような2点リードを奪った状態に持ち込まれていたら、完全にガンバの狙い通りだっただろう。そうでなくとも今の浦和にとって2点ビハインドは重たすぎるので、本当にギリギリのところで勝ち点に手が届いたという試合だった。

システム的なミスと、選手のテクニカルなミスの両方が招いた厳しい前半

浦和は序盤、いつも通りの3-2-5型から岩尾憲が最終ラインを出入りするような形で組み立てようとしたが、ガンバはそれほど無理をせずに形が噛み合うのでマンマークっぽく見える瞬間が多くなった。リカルド・ロドリゲス監督は、前が明本1枚になって江坂が中盤に降りる現象によって、相手が前にズレてきてライン間のスペースが消えたことを戦術的なミスとして挙げた。このようなハイプレスに出てきたことを受けて、もう少しシンプルに相手を裏返すかなという感覚もあったし、三浦はあまりロングボールの処理で対応が良くなかったので明本が十分に戦えた部分もある。もっとも、明本ではなく松尾を選択して人ではなくスペースに勝負を仕掛けたらどうなるかなという感はあったものの、戦術的な状況、つまり立ち位置と噛み合わせは「打開できる程度」のものだったように見えた。

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