浦レポ by 浦和フットボール通信

手応えにできる整理された勝利 場所と人、組織と個人の重要性【轡田哲朗レッズレビュー/J17節名古屋戦】

(Report by 轡田哲朗)

良い攻撃が増えたことで、コーナーキックは今季平均の2倍に

浦和レッズは18日のリーグ第17節、名古屋グランパス戦に3-0で勝利した。リーグ戦での勝利が3月19日のジュビロ磐田戦以来、約3カ月ぶりで10試合ぶりだったのでチームの側には嬉しさよりも「ホッとした」の方が当てはまる割合が大きいかもしれない。前半のうちに3点を取って、後半はさすがに飛ばし過ぎの代償を支払いかけたものの点差と時計を味方につけて試合を終わらせた。

リカルド・ロドリゲス監督はこの試合にアレクサンダー・ショルツ以外の外国籍選手たちをスタメンに指名しなかった。中断期間中に攻撃の整理、役割の整理、徹底をやってきたということだったので、そうしたコンビネーションを作っていく過程で日本人選手たち同士の方が先にしっくりいくというのは割とよくある話だ。また、例えば右サイドバックやボランチなど、「どちらかが起用されそうな」ポジションで先にチャンスをつかんだのが誰だったのかという点もまた、中断期間中に上手くアピールできたコンディションの良い選手をピッチに送り込んだ部分も垣間見えた。それくらい、入りのところで全体に動ける状態に戻れていたので、練習の部分に注目しがちだが頭も体もリフレッシュできる6日間のオフは大きかったのかもしれない。

名古屋は3-5-2でスタートしたけれども、前半の途中で選手交代をして3-4-2-1(長谷川監督は3-4-3と呼んでいた)に変えた。その意味でも、噛み合わない間にリズムをつかんでスコアを動かしたことは、試合運びとして上手くいった。セットプレーの獲得数は敵陣の奥深くまで入り込める攻撃の回数と大きく見ると比例してくる。「流れの中からのゴールは1点じゃないか」と言いたくなる人もいるかもしれないが、中谷など名古屋の選手たちの言葉や感覚からすれば「攻め込まれた結果としてセットプレーが増えた」ということになる。だから、コーナーキックやフリーキックを数多く取れるくらい攻撃の圧力を掛け、そこで決めるという流れは別に攻撃が悪いという評価にはならない。もし、「1回のコーナーキックで1回決めただけ勝った」なんてことになると話はまた変わってくるけれども、Jリーグのデータだと浦和の今季平均が5本だったコーナーキックが、この試合では2倍にあたる10本だった。それを見ても、攻撃を整理する積み上げの良い部分は現れていたと言える。

極力ボランチが降りないビルドアップは継続、横から回り込む攻撃

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