浦レポ by 浦和フットボール通信

ホーム最終戦を勝利で飾れず、4位以内が消滅 ボールを圧倒的支配も勝ち点を逃した理由【河合貴子 試合のポイント/J37節清水戦】

(Report by 河合貴子)

アディショナルタイムに決勝弾を決められて4位以内が消滅

今シーズンのホーム最終戦、清水エスパルスに勝利を収めて有終の美で飾り引退する阿部勇樹選手、退団する槙野智章選手、宇賀神友弥選手、トーマス・デン選手、浜野GKコーチ、工藤コーチを送り出したかった。そして、ACL出場権獲得の可能性がある4位へとリーグ戦ラストゲームに望みを繋げたかった。しかし、どんなにボールを保持してもゴールを決めなければ決して勝てない。シュートを放たなければゴールは決まらない。浦和に決定的なチャンスがあったかと言えば・・・。清水を崩しきれない苦しい展開の中で迎えたアディショナルタイムの90+3分、起死回生の中村選手のミドルシュートが決まり0-1で敗戦。J1に残留したい清水の執念が勝っていたのか・・・。冷えきった身体を木枯らしが凍てつかせた。

試合開始から清水の狙いは明らかであった。4-4-2で良い距離感でブロックを退き、浦和にボールを持たせて我慢強く守りワンチャンスを狙っていたのだ。対する浦和は、江坂任選手と関根貴大選手を前線に置き『浦和式ゼロトップ』で挑んだ。攻撃時には両サイドバックの山中亮輔選手と酒井宏樹選手が高いポジションを取りピッチに幅をうまく使い揺さぶりを掛け、サイドハーフを任された田中達也選手と大久保智明選手が関根選手や江坂選手が下りたときのスペースを使うなど流動的に動くが、ボールを保持しながら攻撃の組み立ては作るもののなかなかクサビの縦パスや斜めの飛ばしのパスも出せずにバイタルエリアからの攻撃のスイッチが入らない。清水の守備ブロックを広げることが出来ずに、苦戦をしいられてしまった。

リカルド・ロドリゲス監督は「我々が快適にプレーできなかったと思っています」と険しい表情を浮かべ「ボール持っている時の幅であったり、外を使った時の、最後の質の所、クロスの質が足りていなかったと思います。狭いスペースの中で、コンビネーションでいくつかゴール前に迫るような場面がありましたが、そういった部分が幅であったり、崩しの所が足りなかったと思っています」と振り返った。

20分には、平野佑一選手から山中選手へと飛ばしのパスがやっと入り、ペナルティーアーク左付近から山中選手がDFの裏へと飛び出して来た田中選手へアーリークロスを送るもわずかに合わずシュートまで持ち込めない。浦和が前半に放ったシュートは、68%もボールを支配していたにも関わらず4本であった。

11分、遠めから狙った平野選手。33分、ゴールに向かって斜め45度の角度から思い切りの良い山中選手のシュート、34分にはゴール前を固めてられている中でのペナルティーアーク近くで放った大久保選手のシュート、36分はDFがインターセプトしたところを拾って放った伊藤敦樹選手と立て続けにゴールを脅かした。前半のシュートは、全てペナルティーエリアの外からで枠を捉えることが出来なかったのが3本、相手にブロックされたのが1本だ。いずれも惜しいシーンではあったが、決定機的なチャンスかと言われたら違う。

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