浦レポ by 浦和フットボール通信

先制点で重要な「そこに立っていた選手」 真実の時間を勝利でスタート【轡田哲朗レッズレビュー/J29節C大阪戦】

(Report by 轡田哲朗)

平野がスタメンに戻る、心配された風雨は大きな影響を与えなかった

浦和レッズは18日のリーグ第29節、セレッソ大阪とのホームゲームに2-0で勝利した。リカルド・ロドリゲス監督が試合前日のオンライン会見で「これからは真実の時間だ」というキャッチーなコメントをしたので、それに思いっきり乗っからせてもらおうと思う。サッカーは相対的なものなので、試合をトータルとしたときに「まずまず良い浦和」と「だいぶ良くないセレッソ」が噛み合ったことで、試合内容に大きな差が出た感はある。確かに、後半のキャスパー・ユンカーを入れた後に数多くあったカウンターの決定機を見ると、もう少し得失点差が欲しかったという感想は理解できる。ただ、大事なのは試合内容に差があるなら勝ち点に反映することなので、そのミッションはしっかり果たしたと言っていいはずだ。

スタメンはボランチに平野佑一が戻ってきたことだけが変更点で、懸念された台風関連の風雨やピッチコンディションには、プレーの上で大きな問題がなかった。むしろ、粒の細かい雨が芝生の上に乗るような環境だったので、かなりボールが走りやすく、浦和にとってプレーしやすい状態だったように見受けられた。もっとも、観戦するにはちょっと大変だったのは間違いないと思うけれども。

浦和は1週間の調整期間を得て試合ができた一方で、セレッソはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)から中2日、13連戦の11試合目ということでコンディションに厳しさがあったのは明らかで、後半15分過ぎにサイドハーフからFWまでを4枚替えすることになった。小菊監督によると、それが「ある程度はゲームプラン通り」ということなので、対戦のタイミングは少し浦和に運があった。

乾の立ち位置を咎めた前進と、関根がフリーになった理由

この試合は、リカさんが就任してから多くの場面で言葉として出てきた「ポジショナルプレー」の面白さが随所に出ていたと言える。浦和は平野が出場した時によく見られる、彼が最終ラインを出入りして柴戸海と前後の関係になる3バック変化をマイボールで行うことが多くなった。それによってセレッソの2トップに対する数的優位、あるいは配置の優位性を取りにいくもので、それに対するセレッソのプランは左サイドハーフの乾を高い位置に置いて人数を合わせることにあったように見えた。ただ、それをやるならケアしなければいけない場所、あるいは穴になる場所が必ず出るので、その対応がファジーになったところをしっかりと咎めたのが浦和の先制点だったと言える。

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