浦レポ by 浦和フットボール通信

ミスが失点につながり敗戦 最良の解決策は「気にしない」【轡田哲朗レッズレビュー/J18節湘南戦】

(Report by 轡田哲朗)

ちょっと驚いたのは大久保のスタメン起用

浦和レッズは20日のリーグ第18節で湘南ベルマーレとホームで戦い、2-3で敗れた。1-0、2-1と2回リードを奪ったものの、3失点はいずれもミスが絡んだ。そして、そのうち2点が自陣からのビルドアップの過程に発生したものだったことで、言いたいことがある人もいるだろう。

メンバー発表で少し驚いたのは、大久保智明のスタメン起用だった。確かに9日の天皇杯2回戦のゲーム、カターレ富山戦ではゴールにも絡んだけれども、それ以外の時間帯のプレーがどこまで質の高いものだったかという観点では「う~ん」というところもあったので、出した結果に対して時間を与えるのがリカルド・ロドリゲス監督の考え方なのだろうと感じるところがあった。

結果的にこの試合で彼のプレーは前半がそこまで良いものではなく、本人も「前半は難しかった。見ていても分かる通り、前半はほとんど何もできていなくて、自分自身も全然納得がいかない状況でしたけど、後半はまた気持ちを切り替えて。入りも良かったし、後半は持ち味を出せた」という振り返りをしたそのままだと思う。大事なのは、大久保に対してどうこう言いたいのではなくて、「そこで1つ我慢して見てみよう」がリカさんの考え方なのだろうということ。システムや全体の動かし方、噛み合わせのところは割とサッと見切るけれども、個人のちょっとしたデキのところでは、そこまでバッサリいかないやり方なのだろうと感じている。

ミスは起こるもの。トータルした時にどっちが得かという話

恐らくこの試合は戦術的なところをどうこう、ということをテーマにするよりも、3点のうち2点につながったビルドアップの過程におけるミスに触れた方が良いだろう。結論から言うと「考え方に関して、何も変える必要がない」が私の意見になる。J1のクラブは大雑把に年間で約50試合を戦う。その中には、ミスが際立つような試合はあるだろうし、そういう時に相手がシュートを外してくれるとか、負けまでいかずに引き分けで済むとか、そういうちょっとした不運の中の幸運が起こると勝ち点の意味では助かるけれども、この試合ではそうならなかった。言い方は悪いけど、ただそれだけのことだった。

1点目はゴールキックからつないで進んでいこうというところで、金子にミスが出た。ボランチがゴールキックをショートパスで始める、割と最近の流行の1つであるやり方が気に入らない人がいても構わないけれども、今季の試合では柴戸海が同じことをやってスタートしたシチュエーションで、きれいにサイドを割って決定機までつなげたこともある。何かをする時、それに対しての成功率は絶対に100%にはならない。人間がやることだから失敗はある。こういう戦術にしてもそうだけど、ある作戦に対しては「トータルして考えた時、どっちが得なのか」という視点で見るのが大事だ。

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