【島崎英純】2024Jリーグ第37節/アビスパ福岡vs浦和レッズ・試合レビュー『相手の術中に嵌り被弾。違和感を覚えた浦和の戦術・戦略』

©Yuichiro Okinaga

相手の術中に嵌まる

現在の浦和レッズのモードは”テストフライト”。マチェイ・スコルジャ監督は前戦のJリーグ第28節・川崎フロンターレ戦のスターティングメンバーから7人を入れ替えて今節のアビスパ福岡戦に臨み、各選手のプレー傾向とポジションへの順応度合い、そしてプレーレベルの確認作業を行った。

指揮官は試合後、福岡戦の所感をこう述べている。

本日の試合の入り方は、非常に良かったと思います。相手陣内でボールを長くキープすることができましたし、ビルドアップが非常に良かったと思います。ただ、立ち上がりの20分、25分くらいまでは裏に抜ける動きが十分ではなかったので、チャンスの回数が多くありませんでした。そして自陣のビルドアップでボールのロストがあり、そこで紺野選手が素晴らしいゴールを決めました。我々は逆転を目指してプレーしましたが、ファイナルサードに入ってからの、クロスを含めた決定力が足りなかったと思います。後半も同じように攻撃的に行こうとしました。(前田)直輝と(原口)元気には、斜め内側へのダイアゴナルランを増やそうという指示を出しました。ただ本日は、キッカーとランナーのタイミングがあまりうまく合いませんでした。チームは得点しようとトライしていったと思います。ベンチから入った選手たちもベストを尽くしてくれました。たとえば元気から(二田)理央への素晴らしいパスもありました。試合終了間際の(本間)至恩の場面もありました。しかし本日はそれを得点につなげることはできませんでした。そのようなチャンスを、長い距離を移動してきて応援してくださっているファン・サポーターの前でつくりましたが、シーズンの最後で喜びを与えることができませんでした。我々にとって、勝ち点3を取る機会があとひとつあります。次のホームでの最終節では勝利を目指しながら、できるだけ良い内容のプレーもしたいと思っています」

このコメントは様々な意味で示唆に富んでいるように思える。出場チャンスを得た選手たちには一定の評価をしたうえで、その試合内容、プレーパフォーマンスの問題点などを的確に指摘している。チームコーディネイトに秀でるスコルジャ監督は頭ごなしに批判めいた発言をしない。そのうえで、今のチームが改善・修正を図らなければならないファクターや選手個々の意識改革などを促している。

個人的には、今回の福岡戦は浦和が相手の術中に嵌り、自身は各々がプレーをしやすい選択をしたうえで必然的に手詰まりに陥ったように思える。もちろんここから来季以降に掛けてそれらが解消されて各選手、そしてチーム全体がレベルアップしていく余地もあると感じている。一方で、おそらくスコルジャ監督が考えている理想のチームスタイル実現のためには相応のチーム編成が必要で、一定程度の選手の入れ替えは必須であるようにも思える。

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