【浦研プラス独占・単独インタビュー】原口元気‐『浦和のために、チームスピリットを胸に』

©Yuichiro Okinaga

もがくことも経験

インタビューの冒頭に『調子はどう?』と声を掛けたら、『どう思う?』と返された。こちらが『まだ、あまり良くはなさそうだね』と本音を漏らすと、彼は柔和に微笑みながら、『まあ、そうだよね』と答えた。

原口元気は自身の苦境を包み隠さない。厳しく困難な毎日を過ごしているとき、彼は周囲とその意識や感情を共有する。それが彼なりのコミュニケーションの取り方であり、お互いを尊重する姿勢の表れでもある。

今夏にドイツで新たな所属クラブを探していた時期は不安を拭えなかった。その後、約10年ぶりに浦和レッズへの帰還を決めた後も、原口はその影響が甚大であることをある程度理解していた。

「日本に戻ってから試合にも出るようになったけど、やっぱり最初は大変だった。約3か月半チームに所属していなくて、自主練習していた時期がほとんどだったので。こんなに長くチームに所属していないことは初めてだったし、さらに戻ったのが日本で、ヨーロッパとは気候も違うし、グラウンドも違うし、サッカーのスタイルも違う場所だった。ここまで1か月ちょっとくらい経ちましたけど、アジャストするに時間はかかったかなという感じがする。でも、やっとスタメンで出場できる状態にはなりました。

初戦なんて65分くらいで身体が攣ってしまって、そんなことはこれまでのキャリアでなかったから、ちょっとびっくりした。まあ、今はもう少し試合で戦えるぐらいにはなったかなと。ただ、まだ、そこから他との違いを出せるほどのコンディションではないかなという感覚はある。プラスアルファ、もう一つ、試合を決めるとか、チームを勝たせるような仕事をしたいと思っているんだけど、まだまだ物足りない部分もあるのが実際のところですね」

想像も覚悟もしていたが、それ以上に自身の身体が思い通りに反応しない。それでも今はあえて焦燥する気持ちを抑えている。いつか必ずベストの状態に戻り、このクラブに、このチームに貢献する。それを決意したからこそ、彼は“心のクラブ”である浦和へ戻るのを決めた。

「今は自分が思い描くプレーとはかけ離れている。移籍を決める前も一人で相当追い込んでいて、筋肉痛が来ても走り込んだりしていた。でも、やっぱり実戦の負荷とは異なるものがあって、コンディションを高めるのは難しかった。サッカーはチームスポーツだし、一人での練習では球際の訓練などもできないから。その結果、いろいろな負荷が来てしまった部分もある。

この10年間はほとんどマッサージなどのケアもしないできたんだけど、それも必要なぐらい身体が張ったりして、いろいろな反応が起きた。だから自分が予想していたよりも苦労はしているかな。ただ、(マチェイ・スコルジャ)監督もうまく最初は15分、30分限定での出場みたいな形で起用してくれたので、そこは感謝しています」

ヨーロッパと日本のサッカーのプレー傾向の違いにも直面している。これまで数多の先達が経験し、体感してきた日欧の“違い”をも受け止めてアダプトしなければならない。

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