【島崎英純】2024Jリーグ第26節/サガン鳥栖vs浦和レッズ・試合レビュー『中断前からの改善は確かに見られた。痛恨のアウェー・ドローも、見えた一筋の光』

©Yuichiro Okinaga

戦略は確立されていたが…

浦和レッズの先発布陣は延期となった前節の柏レイソル戦の試合前に発表されていたメンバーから四人が入れ替わっていた。1トップに入ると目されていた松尾佑介に代わって二田理央が浦和加入後初先発を飾り、パリ五輪の戦いから帰還したばかりだったU-23日本代表の大畑歩夢が左サイドバックで先発復帰し、左ウイングでの起用が濃厚だった中島翔哉が控えに回った。また伊藤敦樹が海外クラブへの移籍準備のためにチームを離脱したため、ダブルボランチはサミュエル・グスタフソンと安居海渡のペアに代わった。

一見するとこの布陣はディフェンスの安定化に留意した4-2-3-1システム遵守の構えに見えた。最近の浦和は相手に先制を許して苦しい展開を強いられるゲームが多く、守備の改善が急務だったからだ。試合が始まってからしばらく浦和のディフェンスワークを観察していると、守備時には4-5-1のようなブロックディフェンスを築いて各選手が受け持ちエリアを十全にカバーする所作が見られた。特に自陣ディフェンシブサードの守備タスクは整理ができていたようで、センターバックの井上黎生人とマリウス・ホイブラーテンがペナルティエリア内で終始構え、サイドバックの石原広教と大畑はサイドエリアをケア、そしてダブルボランチのグスタフソンと安居はバックライン前方に位置取りながらも相手がゲインラインを突破してきた際にはハーフレーンをカバーするアクションを起こしていて、危険なスポットをしっかり観察できていたように思う。4-2-3-1はダブルボランチの中央前方にトップ下を配することができる利点もあり、渡邊凌磨がその任を担ってバイタルエリアに定位したことでディフェンスブロックをさらに強化できていたようにも思う。ただし、この構えでは1トップの二田だけが敵陣方向に矢印を向けて攻撃を仕掛ける任を託されているため、ボールを奪ってからのポジティブトランジションで如何に他の選手が迅速にアタックに参加できるかで、その殺傷能力に違いが生まれるようにも思われた。

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