【島崎英純】2024Jリーグ第20節/名古屋グランパスvs浦和レッズ・試合レビュー『実利を求めて、アウェーで勝ち点3を奪取』

©Yuichiro Okinaga

決断されたシステム変更

浦和レッズはノーマルなチームスタイルに立ち返った。システムは前節の鹿島アントラーズ戦の後半から採用した4-2-3-1で、安居海渡と伊藤敦樹が明確にダブルボランチを形成した。アレクサンダー・ショルツがベンチ入りしなかった影響で佐藤瑶大がマリウス・ホイブラーテンと2センターバックを組み、右に石原広教、そして左には大畑歩夢が入って4バックを敷いた。大畑のスターティングメンバー入りによって渡邊凌磨をトップ下に配し、ウイングは右にオラ・ソルバッケンが配備され、左には前節2ゴールをマークした武田英寿が今季リーグ戦初スタメンを飾った。1トップは不発が続いているチアゴ・サンタナに代えてブライアン・リンセンが今季初スタメン。ペア=マティアス・ヘグモ監督はリーグ後半戦に入ったゲームでシステムと人選の再考に着手し、チーム全体に明確な変化をもたらした。

各選手のポジションバランスはセーフティで、良い意味では各選手の立ち位置が定まっていた。武田とソルバッケンがサイドを変えるなどはしたが、その他の選手はリスクの掛かるエリア移動は選択しなかった。インサイドハーフのポジションが無くなったことで絶え間ない縦ランニングなどは影を潜めたが、逆にポジション逸脱が無くなったことでネガティブトランジション時のディフェンスブロック形成をスムーズに行えるようになった。

攻守バランスに留意したポジションワークは本来、ヘグモ監督が目指す攻撃的な型ではないはずだ。しかし最近のゲームは相手に先制されるケースが多発しており、自らが主体的にゲームをコントロールできなくなっていた。そこでヘグモ監督はまず、失点回避を前提とし、特に守備に留意しながら相手の出方を探ろうと思ったのではないか。

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