【島崎英純】2023-2024AFCチャンピオンズリーグ・プレーオフ/浦和レッズvs理文FC・試合レビュー『新たなる攻撃バリエーションを武器に、堂々とACL本選へ!』

©Yuichiro Okinaga

攻撃の再編

上々のスタートだった。理文FCは埼玉スタジアム2002の雰囲気や浦和レッズのプレーレベルを把握する前に壊滅的な状況に陥った。その要因を生んだのは浦和加入後公式戦初先発した中島翔哉だ。トップ下に入った彼は相手陣内ファイナルサードで効果的な起点役となり、味方選手のアタックをグイグイと促進させた。大久保智明、伊藤敦樹、酒井宏樹らが縦へのフリーランニングを繰り出すと、中島から躊躇のないスルーパスが入る。また中島は逆サイドの観察も怠らなかった。荻原拓也や小泉佳穂がアクションを起こすと、ここにも間髪入れずにボールを供給する。中でも中島の右サイドでの攻撃構築は理文の編成上の欠陥を見事に突き、試合開始から僅か数分で2ゴールをお膳立てしてしまった。

先制点は中島のパスを受けた大久保がポケットを取ってグラウンダーでファークロスを送り、最後は小泉がフィニッシュしたものだった。そして2点目は酒井のオーバーラップを視認した中島からのパスを酒井が受け、興梠慎三の頭へ確実に到達させるクロスを送った。中島によってもたらされた浦和の攻撃力増大は、理文側も事前に予測することができなかったのかもしれない。

マチェイ・スコルジャ監督は3日後のJリーグ第25節・湘南ベルマーレ戦を見据えつつ、興味深い先発布陣を組んだ。マリウス・ホイブラーテンは累積警告で湘南戦は出場停止のため先発が予想されたが、キャプテンの酒井、チームの中核である伊藤、右サイドの”槍”大久保らをスターティングに加えたのはやはり、ACLというタイトルの重要性を熟知しているからだろう。一方でアレクサンダー・ショルツ、明本考浩、関根貴大、ホセ・カンテらがベンチスタートとなり、岩尾憲は帯同メンバーからも外れた。しかし混成の趣がある理文戦の布陣は、それぞれの個性が上手くミックスされ、そのうえでチーム戦術も効果的に機能させる示唆に富む組み合わせだった。

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