【島崎英純】2023Jリーグ第10節/浦和レッズvsサガン鳥栖・試合レビュー『裏目に出た混合布陣。相手の急所を突けず、痛恨の敗戦』

©Yuichiro Okinaga

留めたターンオーバー

 浦和レッズのマチェイ・スコルジャ監督はターンオーバーを少数に留めた。GKの西川周作は不動で、バックラインも酒井宏樹がベンチ外になって左サイドバックに荻原拓也が入った以外はAFCチャンピオンズリーグ決勝のアル・ヒラル戦で激闘を演じたアレクサンダー・ショルツ、マリウス・ホイブラーテン、明本考浩という屈強なメンバーが並んだ。またダブルボランチも岩尾憲と伊藤敦樹のコンビが務め、スコルジャ監督は今季の幹になるメンバーを後方に揃え、そのうえで前方のユニットに幾つかの変化を加えた。

 1トップはホセ・カンテ、そしてトップ下に安居海渡、右MF大久保智明、左MFアレックス・シャルクという組み合わせは今季初。この場合、攻撃面の連係精度はもちろん、守備時のファーストプレスの機能性も憂慮される。おそらく日々のトレーニングではこの組み合わせも試してきただろうが、果たして攻守両面における組織力と個人能力の維持は為されるのか。ただし、浦和は今後も短い間隔で試合が続くため、様々なユニットが適切に融合しながらスコルジャ監督が求めるチームスタイルを実践しなければ勝ち星を挙げるのが難しくなる。

浦和のプレーアクションは若干スローに感じたが、これには幾つかの要因があったように思う。先述した通り、今回の布陣が公式戦で組まれたことがない点はパスのスームズさを欠く要素をもたらしただろう。特に前半途中まではサイドバックの位置を高く取れずに敵陣でのビルドアップが上手く機能しなかった。ただ、これはショルツなどが身振り手振りで改善を促し、それに呼応して右の明本も左の荻原もポジションを改めたことで徐々に修正されていった。

【2023Jリーグ第10節/浦和レッズvsサガン鳥栖・スターティングメンバー】

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