【島崎英純】2022AFCチャンピオンズリーグ決勝第1戦/アル・ヒラルvs浦和レッズ・試合レビュー『ヒラルのポゼッションを無効化した浦和のブロック守備。必然のアウェーゴールも、油断せずホームへ』

©Yuichiro Okinaga

敵地でも臆さず

圧倒的なアウェー。青と白のクラブカラーに染まったサウジアラビア・リヤドのキングファハドスタジアムで、浦和レッズのアジアタイトル奪還への戦いが始まった。

マチェイ・スコルジャ監督は自信を持って現状のベストメンバーを送り込んだ。システムは定形の4-2-3-1で、GK西川周作、4バックは右から酒井宏樹、アレクサンダー・ショルツ、マリウス・ホイブラーテン、明本考浩。ダブルボランチは鉄板の岩尾憲と伊藤敦樹のコンビで、2列目は右から大久保智明、小泉佳穂、関根貴大の機動力あるセット。そして1トップにはエースの興梠慎三が据えられた。右太ももの負傷で3試合欠場していたキャプテンの酒井宏樹が早期復帰したのも、この大勝負を戦い抜ける決意の表れだろう。そもそもスコルジャ監督は今季が始まってから、まずはACL決勝を第一の目標地点と定めて選手起用を固定化し、いわゆる『アル・ヒラル』仕様のチームを着々と作り上げていた。また、気になる『3人目の外国人選手』にはFWホセ・カンテを抜擢してベンチに控えさせた。ACLで多大な神通力を発揮する興梠も、おそらく90分は持たない。そうなれば、前線でタメが効き、なおかつボックス内でのフィニッシュワークに秀でるカンテを“隠し持つ”効力が間違いなくあると思われた。

一方、アル・ヒラルも『3人目の外国人選手』のチョイスが注目された。オディオン・イガロとムサ・マレガの両強力FWが先発するのは当然として、他にアジア枠でCBのチャン・ヒョンス、そして残り4人の優秀な外国人選手の中で、敵将のラモン・ディアス監督はブラジル人アタッカーのミシャエウを先発に抜擢した。個人的にはミシャエウの適正ポジションである左MFにはサウジアラビア代表MFサレム・アルドサリがいるため、彼を無理に起用しなくてもチーム力は保たれると思われた。しかしディアス監督が採った策は左にアルドサリ、そして右にミシェエウを擁し、2トップ気味にイガロとマレガを並べる4-4-2の超攻撃的布陣だった。

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