またしても大勝! タイの新鋭を砕いて準決勝進出!【島崎英純】2022AFCチャンピオンズリーグ準々決勝・BGパトゥム・ユナイテッド戦レビュー

©Takehiko Noguchi

リカルド・ロドリゲス監督は重要なAFCチャンピオンズリーグ準々決勝で、現状のほぼベストメンバーを先発に抜擢した。

同ラウンド16のジョホール・ダルル・タクジム戦からは左MFの大久保智明に代えて関根貴大が入ったのみで、他の10人は不動だった。しかもJDT戦からは中2日で、もし今回の準々決勝・BGパトゥム・ユナイテッド戦を勝ち抜くと再び中2日で準決勝の全北現代戦が控えるが、それでもロドリゲス監督はここ最近のゲームでチーム成績を引き上げてきたメンバーに全幅の信頼を寄せた。

浦和のシステムは定形の4-2-3-1だが、もちろん選手の配置は戦況によって様変わりする。GKは正守護神の西川周作で、最近の彼は安定したゴールキーピングに加えて果敢で機敏なビルドアップ起点としても存在感を発揮している。そしてセンターバックの2枚は岩波拓也とアレクサンダー・ショルツの鉄板コンビだ。最近のふたりは相手の前線プレスに一切動じずにボールを前へ運ぶパス&ドリブルを随所で披露しており、攻撃効果促進の担い手にもなっている。もとより岩波とショルツは今回の相手2トップであるティーラシン・デーンダーとイフサン・ファンディ・アハマドに対しても厳しくマーキングできる頼もしいDFであり、これによって他のポジションの選手は無闇に後傾にならずにチームバランスを保てる。

ダブルボランチも安定感あるふたりが並ぶ。岩尾憲は味方センターバックとトライアングルポジションを取るアンカー気味に構え、もう一方の伊藤敦樹は攻撃時のインサイドハーフ、守備時のダブルボランチ一角と、正真正銘のボックストゥボックスとして君臨する。ただ、今回に関しては序盤にふたりのポジションバランスが崩れて相手に主導権を奪われかけており、その点の問題点は後述する。

サイドバックは右に酒井宏樹、左に大畑歩夢だが、このふたりは攻撃への関わり方に違いがあり、それが前線の攻撃ユニットとコラボレートすることで左右異なるプレーアクションを起こせる要因となっている。

前線ユニットは1トップに松尾佑介、トップ下に小泉佳穂、右MFダヴィド・モーベルグ、左MF関根貴大。ここ最近の浦和を見ていると、ロドリゲス監督は機動力に優れるアタッカーを前に配置したいようだ。その機動力は攻撃面だけでなく守備面でも重要なファクターになっていて、特に松尾と小泉のファーストチェイスによって相手のパスコースを限定して秩序的なディフェンスブロックを形成するプレースキームが確立されつつある。

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