決定機を逃した浦和。それでも互いの機微な戦略が際立ったタフゲーム【島崎英純】2022Jリーグ第20節・京都サンガ戦レビュー

©Takehiko Noguchi

互いに意図の感じる戦略

スターティングメンバーが発表された時点で浦和レッズの選手配置を予測するのは難しかった。ただ、実際にはポジション表記通り、リカルド・ロドリゲス監督は関根貴大を左サイドバックに入れ、明本考浩と松尾佑介で2トップを形成する布陣を敷いた。

関根の左サイドバック起用は、これまでのゲームでも試合中に用いられた策ではあった。その点を踏まえて、今回は京都サンガが採用する4-3-3布陣へのスピード対応と、攻守でシステムを可変させることでポジションギャップの有無を自らコントロールする意図があったように思う。

守備時の浦和は明確な4-2-3-1で、関根は相手右ウイングの山田楓喜とマッチアップする立ち位置を取っていた。逆サイドも然りで、こちらは右サイドバックの酒井宏樹が相手左ウイングの大前元紀を見る形になる。そして相手1トップのピーター・ウタカにはアレクサンダー・ショルツと岩波拓也が数的優位で付く。京都は最前線のウタカが実行するプレスワークによって攻守を循環させるプレースキームがある。ウタカにボールが入った瞬間に周囲の選手がフォローアップして攻撃に厚みを付け、一方でウタカがボールを逸した場合はそのフォローアップを利用してファーストディフェンスの人数を確保する。いわばウタカは京都の生命線とも言える存在なのだが、浦和サイドはその京都のストロングポイントを消すために後方での数的優位性を確保しようとした。

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