【コラム】【島崎英純】初の共存、小泉佳穂&江坂任は第一形態。次なるフェーズは攻撃陣形確立。その理想布陣は…

©Takehiko Noguchi

ついに実現した共存

 YBCルヴァンカップ・プライムステージ準々決勝第1戦。川崎フロンターレと対峙した浦和レッズはホームの浦和駒場スタジアムで後半戦ベストとも言えるプレー内容で相手に脅威を与えた。結果は関根貴大のゴールで先制したもののPKを献上して1-1に終わったが、その高質なチームスタイルは指揮官のリカルド・ロドリゲス監督も一定の評価を与えたほどで、今試合は続く同第2戦だけでなく、リーグ戦や天皇杯などの各大会においても今後の道筋を見出すターニングポイントになる可能性を秘めていた。

 最注目は攻撃MFの小泉佳穂と江坂任の共存だった。6月25日に柏レイソルから浦和へ加入した江坂はリーグ中断期を経て、再開初戦のJリーグ第23節・北海道コンサドーレ札幌戦で浦和での初出場を果たしてからリーグ戦5試合、天皇杯1試合の全試合に出場してきた。一方で、小泉は左膝付近の負傷で中断明け以降は欠場が続き、ようやく復帰したのはJリーグ第27節の湘南ベルマーレ戦だった。しかも、この湘南戦では先発出場した小泉がハーフタイムで交代して代わりに江坂が出場したことで、ふたりの同時出場は叶わなかった。

 ふたりの共存は川崎とのカップ戦で実現した。ただし、その起用法は予想外なもので、形上はふたりの2トップの様相を呈した。戦前はどのようなポジションバランスになるのか、他ポジションとの連係が機能するのか、また攻撃パターンにバリエーションが生まれるのかなど、様々な興味が生じたが、蓋を開ければそのコラボレーションはハイレベルで、攻撃面だけでなく守備面においてもチーム戦術・戦略が引き上げられたように感じた。

 江坂は試合後に小泉との関係性について、「一番は距離感のところで、佳穂と良い距離感で、近すぎず、離れすぎず、その距離感が良かった分、ボールをしっかり保持できたし、良い関係を築けたかなと思います」と語っている。江坂が語ったように、近接の概念はロドリゲス監督が掲げるチームスタイルを具現化する上で重要な要素で、攻守両面において様々な影響をもたらす。

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