【FUKUDA’S EYE2020】福田正博:2020シーズンの浦和が直面した限界・後編『“浦和のサッカー”。それはすなわち”丸投げ”。クラブサイドのチーム構築方針は全く振れていない』

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貧する浦和

 浦和レッズは今、すでに完成されている選手ではなく、これから成長する素地のある、将来性のある選手の獲得を目指している。湘南ベルマーレから金子大毅、FC琉球から小泉佳穂などを獲得したのはその布石だろう。ただ、この人選は今回就任が決まったリカルド・ロドリゲス監督のリクエストではない可能性がある。浦和は元々別の指導者の監督就任を考えていて、その流れから金子らをリストアップしたはずだからだ。おそらく現在はロドリゲス監督とのディスカッションを通して選手獲得のアクションを起こしているだろうが、その行動が他クラブに比べて遅れている場合は今後、思うような補強を行えないかもしれない。

 重要なのは、浦和でプレーする選手がリーグ優勝、もしくは他のタイトル獲得に貢献できるだけの能力を兼ね備えているか否か。そのような人材へと成長するまでにはある程度の時間を要するかもしれないが、それでは、近年の浦和はそれに見合う人材を獲得できていたのだろうか。

 例えば、昨シーズン新卒で加入した武田英寿には個人的にその素養があると感じている。彼のような選手が常時試合に出場して実績を築き上げられるようになれば、浦和のチーム構築も好循環していくかもしれない。ただ、そのような選手がひとりや2人しかいないのでは意味がない。浦和の長い歴史の中でも高卒新人で即デビューできたのは小野伸二くらいしかいないわけで、今後も浦和は若く才能豊かな選手がチームで活躍できるような土壌を築き上げなければならない。

 常にタイトルを狙う浦和というクラブでは、若手が活躍できる環境を築き上げるのが難しいという意見もある。しかし、そもそも浦和はそんな実績を得ているクラブではない。また、国外のクラブなどを見渡せば、ビッグクラブと称されるクラブであっても、10代ですぐに主力に据えられる選手はいる。年齢ではなく、純然たる実力を評価する。それが世界共通のサッカーシーンの潮流だ。すなわち、これまでの浦和は根本的な人選に問題を抱えていて、それが今でも問題点として内包しているに過ぎない。近年の浦和には若く才能があり、年齢の差異を問わずに日本代表へ選出されるような選手が存在しなかったからこそ、新たな主力が台頭せず、成績も伸び悩んだ。個人的にはそう思っている。

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