日々雑感ー今季限りで退任。大槻毅監督が示してくれたもの

 

(C)Takehiko Noguchi

現体制の成果

 2020年11月25日、浦和レッズは大槻毅監督との契約について、2020シーズンをもって満了とし、来シーズンの契約を更新しないことで合意したと発表した。大槻監督は2018シーズン途中に堀孝史前監督から、そして2019シーズンにはオズワルド・オリヴェイラ前監督からトップチームの指揮権を受け継いでチーム状況を立て直し、2019シーズンではAFCアジア・チャンピオンズリーグで準優勝を果たすなどして実績を築き上げ、今季2020シーズンは自身初めてシーズン開幕からチーム構築に着手して強化に努めてきた。現況のチーム成績はYBCルヴァンカップでグループステージ敗退、そしてリーグ戦では30試合を消化して13勝6分11敗、得点42、失点47の勝ち点45で9位に付けている。

 前任者からチームを引き継いだ際の大槻監督は、モチベーションを高めるようなムード作りと緻密なスカウティングを基にした戦略の両面でチーム内に変化をもたらした。時に、あえてエモーショナルな言動や振る舞いをして選手たちへ勝利への希求や責任を喚起させたが、このような指導法はアカデミー年代のチームを率いたり、高校の教職に就いた指揮官自身の経験から裏打ちされた行為であるように思えた。いわば大槻監督と選手は教師と生徒のような関係で、その結び付きによってお互いに尊重し合いながらチーム強化に努めた約1年半の体制だったように思う。

(残り 1966文字/全文: 2652文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »