【戦術考察コラム】4バックディフェンスの基本概念を今一度整理ー『ゾーンディフェンス編。柴戸海がファーストチョイスである理由は…』
今季の浦和レッズが採用する4-4-2システムは、昨季まで用いていた3-4-2-1とは異なる攻守の約束事や組織的ベースが存在する。今季、浦和が戦った公式戦はYBCルヴァンカップ・グループステージ第1節・ベガルタ仙台戦とJリーグ第1節・湘南ベルマーレ戦の2試合だったが、得点は5点、3点の総計8得点と素晴らしい数字を刻んだ一方で、失点はいずれも2失点の総計4失点と課題を残した。そこで今季の浦和がどのような守備戦術を用い、チーム全体でディフェンスコーディネイトを施そうとしているのか、その基本概念を整理してみたい。今回は『ゾーンディフェンス編』。
『ボールオリエンテッド』の概念
大槻毅監督は今季からチームシステムを4-4-2に定めている。このシステムは4人のDF、4人のMFライン、そして2トップの3つのラインがブロックを形成し、各選手はそれぞれのポジションの立ち位置に留意しながらディフェンスタスクをこなす。
サッカーでは人に付く『マンマークディフェンス』、受け持ちエリアに侵入してきた相手に対応する『ゾーンディフェンス』の概念があるとされるが、おそらく現代のトップカテゴリーで明確なマンマークディフェンスを採用しているチームはないと思われる。例えば昨季まで浦和が採用していた3-4-2-1システムにおけるディフェンスワークもそれぞれの選手が受け持ちエリアを担当し、相手がそのエリアから離れたら『マークを受け渡す』ゾーンディフェンスを行っていた。分かりやすく言えば、3バックの左ストッパーの槙野智章が相手FWを追いかけるために自陣右サイドライン際までポジションを移動させることはなかったわけだ。
つまり、システムが3バックでも4バックでも、ディフェンスワークの概念が『ゾーンディフェンス』であることに変わりはない。ただし、その守備の枠組みについては3-4-2-1と4-4-2とで、かなりの違いがある。
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