【短期集中連載コラム】ミシャ体制崩壊、その理由ー第2回

指揮官が目論んだレベルアップ

 2016シーズンの浦和レッズはAFCアジア・チャンピオンズリーグでノックアウトステージ進出し、ラウンド16では韓国KリーグのFCソウルに敗れたが、一定の結果を残した。またYBCルヴァンカップではACL出場でグループリーグを免除されて決勝トーナメントからの出場とながらも、2003シーズン以来のタイトルを見事に獲得。これはペトロヴィッチ監督体制初の戴冠となり、チームは自信を深めた。そしてJリーグでは2ステージ制の中で34試合でリーグ史上最多タイとなる勝ち点74を積み上げてチャンピオンシップへ進出。しかし決勝の鹿島アントラーズとのホーム&アウェー2試合合計でアウェーゴール差の末敗れて2006シーズン以来のリーグタイトル奪還を逃した。

 昨季の成績を受けて、ペトロヴィッチ監督が決断したのはさらなる攻撃力の増進だった。チーム全体の位置取りを現状より10メートル上げ、敵陣でハーフコートゲームを仕掛ける。ボールポゼッションで優位に立ち、相手を圧倒して大量得点を目論む。もちろん攻守バランスを攻撃へ傾けるのだから守備面のリスクは高まる。自陣スペースも広大に広がるだろう。その対処は最前線からのプレス&チェイスでファーストディフェンスを徹底させ、強烈なボールアプローチでボール奪取して再び攻撃ターンを仕掛ける形で解消を目論んだ。ペトロヴィッチ監督が頭の中で思い描いた戦術メソッドはドイツ・ブンデスリーガ覇者であるバイエルン・ミュンヘンのスタイルを模したもので、実際に選手たちへバイエルンのプレービデオを何度も観せていた。

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