【戦術コラム】”遠藤航ヴィジョン”ー浦和の攻撃・守備組織を考察する
フィールドプレーヤーの最後尾に位置するリベロの遠藤航は、GKの西川周作と共に、常にチーム全体を俯瞰して見ている。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督がリベロに課す役割は攻守両面に渡り、その責任は多大だ。しかし遠藤には確固たるヴィジョンとチーム戦術への理解がある。
遠藤は試合後に雄弁に戦況を説明する。その言葉は示唆に富み、時にチームの改善点を的確に指摘する。そこで今回は、今季の各試合で彼が発したコメントを抽出し、その思考、プレー傾向などを図解を交えて紐解きたい。
遠藤航・コメント考察①
2017年2月18日・富士ゼロックススーパーカップ・鹿島アントラーズ戦@日産スタジアム
(浦和2−3鹿島)
Q 浦和陣内のサイドスペースを狙われる傾向もあった。
「そこが、このチームで守備をするうえで難しいところ。相手へ行くところで皆が前に行くと、最終的に自分のところ(リベロ)でカバーしなければならない。そこのカバーに行く判断は自分の中では難しいですね。真ん中を空けてカバーすべきなのか、その判断はしっかりやっているつもりですが、確かに難しい。ブロックを引いている中ではそこまでサイドの裏を突かれることはないんですけども、前からプレスを掛けている時にモリくん(森脇良太)やウガくん(宇賀神友弥)が裏を取られた時に僕がカバーをしても、ボールを奪えない時がある。その時に真ん中の状況がどうなっているか。それは首を振りながら見ています」
【解説】
浦和がポゼッションして攻撃している最中に相手にボール奪取され、攻守転換が起こった時のシチュエーション。浦和は前線トライアングル、両翼、ボランチだけでなく、ストッパーもサイドバック的な役割を果たして敵陣へ入り込む。対戦相手は浦和の陣形ギャップを狙ってストッパーの背後へ攻撃者が走り込み、そこへボールホルダーがパス供給しようとする。その際、後方中央にポジションを取るリベロはサイドエリアへ出てカバーすべきか、中央に留まって守備バランスを保つかの判断が求められる。状況によっては最後方のGK西川周作とマークの受け渡しをすることも。リベロを務める遠藤航は常に攻守転換時のリスクを考慮してプレーしている。
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