【無料掲載】2017明治安田生命J1リーグ第8節・コンサドーレ札幌戦[ミハイロ・ペトロヴィッチ][監督コメント]

○ミハイロ・ペトロヴィッチ監督
勝利するという目的は達成されました。いいゲームができたと思うし、チャンスも多く作れたと思います。札幌に3−2という際どい結果だけを見れば、みなさん、札幌ががんばったと思われるかもしれませんが、内容を見れば、我々が違いを見せられたゲームだったと思います。相手がブロックを作って自陣に引いて守る中で、得点チャンスを作るのは決して簡単ではないが、その中でもチャンスの数は作れていたと思うし、もちろん決定力は上げていかないといけないが、内容だけを見れば7−0で勝った仙台戦に近かったと思います。ただ、失うものがないという戦いを挑んできた札幌に対して、これだけの試合を見せられたことは私自身はよかったと思っています。

昨日の会見でも言いましたけど、Jリーグは各チームの力が非常に拮抗しています。毎試合、どこのチームと対戦しても、どちらが勝利するかわからない戦い、結果になるのがJリーグです。もしかしたら、今シーズンは鹿島、FC東京が選手の質、選手層で少し抜けている感があるかもしれないし、下の5チームが選手層で劣る部分があるかもしれませんが、残りの10チームくらいは同じくらいの力だと思いますし、10%も違っていないと思います。今節の結果を見ても理解できると思います。

札幌は広島、FC東京に勝利し、川崎に引き分けているチームです。強いと思われるチームに対してもいい結果を残しています。選手のクオリティ、層の違いは走ることで十分補っているチームだと思います。甲府も非常に優れたブラジル人選手、あるいは経験のある日本人選手がいますし、Jリーグはどこを見渡しても、どのチームにもしっかりとした戦術があり、走り、戦ってきます。だから今日のゲームも決して簡単なものではなかったし、その中で目標を達成できたことはよかったです。

浦和はチームコンセプトを元に、それぞれの選手が役割を担っていることこそ我々の強さであり、それぞれの選手が自分勝手なことを始めたら、それは我々の強さではなくなってしまう。武藤選手は以前、仙台でレギュラーではなく、駒井選手はJ2から来た選手ですが、そういう選手であったとしても、自分の努力で今の浦和のレベルにまで成長していると思うし、浦和の戦術を理解し、自分の役割をそれぞれの選手が果たすことによって、浦和の強さが生まれます。

他のチームの選手と比べて、スーパーな質があるかと言えば、私はそうは思いません。それぞれの選手が戦術を理解し、役割を担っているからこそ、逆に個が評価される状況が生まれます。自分勝手なことを始めれば、おそらくチームはバラバラになって、決して我々の強さは発揮されないと思います。

相手が守ってブロックを作る中で、全員が意図的に連動して、ボールを動かしながら崩して、得点をしていく、チャンスを作っていくことは見ているほど簡単なことではありません。選手たち自身がそれを一番よくわかっていると思います。たとえば、サイドチェンジから宇賀神選手が折り返したボールはGKに向かってしまいました。ああいうシーンもしっかり折り返せば、おそらく得点になっていたと思いますが、そういう形を意図的に作り出したということに、私は素晴らしさがあると思います。もちろん、あのシーンで精度よく決め切るシーンも作っていかないといけないと思っていますが、大事なのはみんなが同じ絵を描きながら攻撃を組み立て、崩していくこと。今日、たくさんのチャンスがあって、決めないといけないシーンはありましたけど、そういうシーンをたくさん作れていることが重要だと思っています。

たとえば、手でパスをつないで、フィニッシュまで組み立てるとしても、けっして簡単にあそこまで崩せることはないだろうと思います。私の指導者の方々は、そういう風に表現していました。それを我々は足でやっているので、時々ミスが起きたり、疲れた中で精度が落ちることは出てくるでしょう。自分たちが意図的に、連動して動く中でチャンスが作れていること、おそらく7回くらい決定機があったかもしれませんが、それくらい作れていることに対して、私は選手をリスペクトしていますし、今日はよくやってくれたと褒めていいと思います。

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