問われるゲームコーディネイト力、激しい試合展開の深層【島崎英純】2016Jリーグ2ndステージ第4節・大宮アルディージャ戦レビュー

互いに突破口を探ったサイドの攻防

局面での激しい球際勝負。何度も連続する高速攻守転換。浦和レッズと大宮アルディージャのマッチアップは激闘の様相を呈した。

『さいたまダービー』の試合展開は常に同じではない。両チームともにゴールを死守して1点を争うタイトゲームになることもあるし、激しい点の奪い合いになることもある。この日は埼玉スタジアム2002が53951人の大観衆で埋まったことも影響したか。両チームの選手達は戦闘意欲剥き出しで対峙し、双方ともに死力を尽くしたゲームを繰り広げた。

大宮の渋谷洋樹監督はクラブ伝統の4─4─2を採用。家長昭博、菊地光将の攻守の要ふたりを欠いたチームはセンターバックに今季大卒新人の山越康平と河本裕之を据え、最前線にはネイツ・ペチュニクと共に江坂任を置いた。だが、この日の大宮の突破口はセンターラインではなくサイドだった。右サイドのマテウスは167センチと小柄だが、挑戦的な縦への仕掛けで対面の宇賀神友弥と何度も1対1を敢行した。宇賀神も必死の防御で応戦したが、このエリアの趨勢は大宮が握っていた。それが後半半ばにひとつの結果へと結びつく。

一方の浦和もサイドでの攻略を図っていた。相手が右から攻めるならば、こちらも右で仕掛ける。関根貴大は本来のアタッキングスタイルを全面に押し出し、対面の大屋翼を何度も後ずさりさせた。このマッチアップもまた、後半にひとつの解答を導いている。

序盤は浦和の方が若干ボールポゼッション率が高かったか。大宮陣内中央は選手が密集してスペースがなかったが、相手が4バックを維持してスライドディフェンスしてきた影響で、前述したようにサイドでは頻繁に1対1のシチュエーションが生まれていた。

興味深いのは、最近の浦和の対戦相手が明確なマンマークを敷かないことだ。

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