【無料掲載】2016Jリーグ1stステージ第15節・鹿島アントラーズ戦[ミハイロ・ペトロヴィッチ監督][監督コメント]

○ペトロヴィッチ監督
今日のゲームは、両チームが非常に高いテンポで、激しい、素晴らしいゲームをしたのではないかと思っています。もちろんサッカーである以上、どちらかに勝敗、あるいは引き分けという結果がつくわけですけど、こうした良いゲームをした中で、敗退してしまったわれわれは、非常に残念な気持ちでいっぱいです。

今日のゲームでは比較的、後ろからの攻撃の組み立ては落ち着いてできていたと思っています。ボールをしっかり動かす中で、前の3人への縦パスは、良く通っていたと思います。ただ、そこからの展開がうまくいかないシーンもありましたし、うまくいっても、ラストパスやシュートの精度が足りなかったと思っています。今日のゲームで違いがあったとすれば、相手の2、3人の選手は、個人の能力で、ドリブルで相手を抜いていける、ボールを運んでいける選手でした。相手の得点シーンでも、少ない人数でフィニッシュまで持ち込み、ゴールを決めています。

われわれは相手を押し込んでいても、ゴール前で決定的な仕事や個人の能力でひとりはがすことができず、なかなか突破できませんでした。あるいは、シュートまで持って行けても、その精度が少し甘かったと思います。ただ、全体的にはチームとして決して悪いゲームではなかったと思っています。重要なゲームで敗退し、悔しい思いでいっぱいですが、G大阪戦、広島戦、FC東京戦、神戸戦と、まだまだ試合は続いていきます。反省すべきところはしっかり反省し、次の試合に向けて切り替えていい準備をして、厳しい5連戦を全員で乗り切りたいと思っています。

 

Q 相手も日程も厳しい5連戦を戦う上で、この結果を受けて何を修正するか。あるいは何がポイントになるか?

A われわれがACLを戦ったことを、言い訳にはしたくはありません。ただ、ACLを戦ったどのチームもJリーグで今なお苦戦しています。ACLを戦うことでのチームへの負担は、みなさんが思っている以上であることは確かです。

非常に厳しい、死のグループと言われたグループステージの戦い、そしてこの間はラウンド16でFCソウルとの厳しい戦いをしました。その中で今日のゲームも、選手のプレーについてはみなさんもお気づきになられたのかなと思いますけど、われわれが思っているよりも、選手たちにかかる負担はまだあるのではないかと思います。それであるなら、選手を少し入れ替えながら戦うとか、そういったディスカッションが生まれても当然でしょう。

私は監督として、代えるのであれば、代えた選手よりも良いものを出す選手であることを念頭に置いて、起用を考えています。代えるためだけの交代はしません。鹿島や川崎、J1で1位、2位を走っている2チームは、いずれもヤマザキナビスコカップのグループステージで敗退しています。選手を入れ替えながら、両方とも結果を残していくというのは、それを見ても簡単でないことがお分かりになると思います。日本のチームの中に選手を入れ替えながら同じレベルを維持していくチームは、日本にはなかなかありません。

いかに、チームをいまの状態からノーマルな状態に戻しながら、連戦を戦っていくか。この難題をクリアしていくのが、いまの私の課題です。もちろん、選手を入れ替えれば、という思いを持つ方もいると思いますけど、決してわれわれは代表選手がベンチに座っているようなチームではありません。そういうチームは日本のどこにもないでしょう。そういうチームがあるならば、ヤマザキナビスコカップも、Jリーグも、ACLも、トップを走っているでしょう。川崎、鹿島もナビスコカップで敗退しているように、入れ替えれば何とかなるものではありません。これまでの戦いの中で疲労している選手もチームにいる中で、いかにそうした選手たちをノーマルに持っていけるか。

これから続く連戦の中では非常に難しい問題ですが、チームとしていかにこの状況を乗り越えていけるかどうかです。私個人としては、選手たちに同じチャンスがあるとは思っていません。全員にチャンスがあると言う監督さんもいますが、私の場合は決してそうではありません。やはり、選手はそれぞれがそれぞれのレベルの中でチームを構成しています。いかにその状況の中でいかに一番良いものを出していけるかどうかが重要です。いかなる状況の中でも、われわれは常に勝ちを求められます。そういう期待を求められるチームであることは宿命ですし、それはわれわれのモチベーションでもあると思いますし、そこにチャレンジしていきたいです。

 

Q 今日、仕掛けのプロセスが違うチーム同士が戦った。レッズはあくまでもコレクティブ、鹿島は、最後は個人の力によるものだった。そのことについてどう考えていますか?

A 過去の鹿島戦を見れば、ここ数年はコレクティブな攻撃を仕掛けるわれわれが勝利していました。今日は個人の能力で攻撃を仕掛け、シュートまで持っていく鹿島が勝利しました。決してどちらがいい、という話ではないでしょう。こう言えば言い訳がましく聞こえますが、われわれのチームは、中心となる選手が代表に行く中で、今日の試合を迎えています。(柏木)陽介は代表でも試合に出ていて、今も連戦を戦っているような状況です。そうした疲労している選手がいる中で、相手に能力のあるフレッシュな選手が出てくれば、そういう選手が際立つのは当然でしょう。ある監督は個人の能力を強調・重視したサッカーをするチームを作ります。私はチームとしていかに相手を崩すか、ということを重要視してチームを作る監督です。

今日の試合に関しては、非常に際どいところで決着したと思っています。決して、われわれが悪い戦いをしたとは思っていません。1失点目は自分たちのミスでボールを奪われ、カウンターから失点しましたけど、あの場面を映像で確認しましたが、私にはオフサイドのように見えました。そうしたことがあるのもサッカーですけど、先にリードされたことが、こうした際どい試合に影響があったのは間違いないでしょう。

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