仙蹴塵記

【ホームタウンから】2025シーズンの活動は、宮城県岩沼市訪問から

2025シーズンのベガルタ仙台のチーム活動が始まった。始動日となった7日は、午前中に東日本大震災の被災地訪問を実施。今年は宮城県岩沼市の千年希望の丘を訪れた。6日に発表された今シーズン登録選手全員が顔を揃え、慰霊碑への献花や黙祷、復興の過程についての学習などを行った。

被災地訪問に先立ち、ミーティングを実施。今シーズンも指揮を執る森山佳郎監督は、あらためて被災当時からチームがプレーだけでなくボランティア等の復興支援活動をしたことを挙げ、「そういうところから地域との絆、結びつきの強い関係性ができあがっているというところでは、僕らはそういう先輩方、(被災時に指揮を執っていた)手倉森(誠)監督達の思いを持って、この地域と寄り添って歩んできたクラブということを忘れてはいけない」と話をしたという。

千年希望の丘に足を運んだチームは、まず慰霊碑に献花し、黙祷。ここから震災の語り部ガイドの方々と合流した。まずは交流センターで被災後の復興の歩みについて映像を見て学んだ後、2グループに分かれて語り部の方から説明を受けながら周辺の施設を見学した。岩沼市では震災遺構を残すかたちとはまた違い、住宅地のあった被災箇所で避難経路の整備や防潮林の植樹を進め、またいつ起きるかわからない震災に備えて被災経験を生かす取り組みを重視している。語り部の方々からは仙台空港へ避難した方々の話等が語られ、当時の教訓が今の設備に繋がっていることについて丁寧に説明があった。

施設見学後は、再び慰霊碑の前に移り、佐藤淳一岩沼市長からは新シーズンに向けた激励を込めた挨拶があり、その後にチームから記念品として2025シーズンスローガンの”PASSION”を贈呈した。

森山監督は昨季の仙台監督就任以来、「被災して辛い気持ちのときに、ベガルタに救われた」という話を聞く機会が何度もあったという。「それくらいスポーツの力、サッカーの力を、ベガルタもそうやって人々を元気にしたり勇気や希望をもたらしたりするようなことができる存在であるということをもう一回胸に刻んで行動していきたい」と、気持ちを新たに新シーズンに向かう。

宮城県出身で今シーズンから仙台に加わった武田英寿は、小学校3年生のときに被災経験がある。中学校の柔道場に避難していたという当時の記憶を思い出すとともに、「まだ辛い思いをしている方々の希望になるとか、少しでも笑顔になってもらえるようなチームを作っていけるよう、一年間頑張りたい」と新天地での決意を口にした。

チームはその後クラブハウスに戻り、午後からシーズン初練習に取り組んだ。

reported by 板垣晴朗

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