仙蹴塵記

J1昇格プレーオフ準決勝 長崎戦・第一報 中島元彦のPKをはじめ今季最多得点により4-1で勝利。J1昇格プレーオフ決勝戦に進出

約3週間の準備期間を経て、ベガルタ仙台はJ1昇格プレーオフ準決勝・長崎戦の会場であるピーススタジアム Connected by SoftBank に乗りこんだ。仙台の先発メンバーは、11月10日の明治安田J2第38節・大分戦と同じ。ベンチには今シーズン限りでの契約満了が発表された中山仁斗が入った。ゲームキャプテンは郷家友太。スタジアムには2000人以上の仙台サポーターが駆けつけ、この日のために準備してきた旗などを振ってチームを後押しした。

仙台は立ち上がりの3分にCKを与えたが、集中して跳ね返す。8分には相手の連続攻撃から秋野央樹のミドルシュートを受けたが、これは枠外だった。9分、仙台は中島元彦が相手陣内右サイドで倒されてFKを獲得。中島は自らこれを蹴って直接ゴールを狙ったが、これは相手GK若原智哉に弾かれた。
長崎にボールを持たれる時間にじっくり耐え、仙台はチャンスをうかがう。15分、奥山政幸の縦パスを受けた中島がシュート。これは若原の正面だった。18分には自陣右サイドでカットした中島がそのまま持ちこみカウンター。パスを受けた相良竜之介がシュートを狙ったが、これはブロックされた。
24分、仙台は右サイドから攻めこむ。開いた中島からのクロスをエロンが落とし、そこに真瀬拓海が走りこんだが、シュートはわずかに右へ外れた。28分、再び右から攻めた仙台は、相手ハンドによりPKを獲得。長崎ゴール裏から大きなブーイングを受けるなか、中島がこれを蹴りこむ。仙台が中島のゴールで先制、1-0とした。
36分と38分に仙台は右サイドからクロスを上げられたが、これは林彰洋が落ち着いてセーブ。44分の相手の連続CKも乗り切った。45+2分、テンポよく相手にパスを繋がれピンチになったが、エジガル・ジュニオのシュートは枠外に逸れていった。直後の45+4分に、仙台は郷家が相手陣内右サイドで倒されFK獲得。鎌田大夢のキックにエロンが合わせたが、これは若原の正面だった。仙台は1-0で前半を終えた。

ハーフタイムでの仙台の選手交代はなし。後半開始早々、仙台は後半から入った松澤海斗にクロスを送られたが、これは菅田真啓が阻止。49分には相手FKからヘディングシュートを許す。これは林が正面で止めた。逆襲を狙った仙台は、53分、右サイドで郷家が粘り、攻め上がった真瀬がボールを受ける。真瀬のラストパスを、エロンが右隅のコースに蹴りこんだ。これで仙台は2-0とした。
仙台は追いかけてくる長崎の猛攻を受ける時間が続く。61分には松澤にゴール正面でフリーでシュートを打たれたが、ここで林がスーパーセーブ。ゴールを守った。63分にはカウンターで最後にエロンがシュート。これは右に外れた。
エロンがシュートシーンで足を攣ってしまったため、65分に選手交代。エロンからオナイウ情滋に代わり、同時に鎌田から松井蓮之に交代した。するとこの交代が68分に効く。右サイドからのオナイウのシュートは若原に弾かれたが、このこぼれ球に郷家が詰めてゴール。仙台はスコアを3-0に変えた。
70分、仙台はオナイウのクロスに中島が頭で合わせたが、これは枠を外れた。76分、仙台は自陣ペナルティーエリア内で繋がれ、マテウス・ジェズスの左足シュートを許した。これで1点を返され、スコアは3-1となった。
79分、仙台は右サイドのFKから松井がゴールに迫るが、これはライン際で相手にクリアされてしまった。85分には、真瀬から石尾陸登に交代。90分には相手陣内でルーズボールを拾った相良がシュート。これは右に外れた。直後の連続攻撃も、相手の体を張った守りに阻まれた。そして90+2分、石尾がカウンターをしかけ、ラストパスを受けた中島がフィニッシュ。中島のこの日2点目で4-1として、勝負を決めた。
90+5分、仙台は相良と中島を、中山仁斗と松下佳貴に交代。相手の攻撃をカウンターで返し、優勢のまま時間を使って4-1で逃げ切った。

仙台は今季最多の4ゴールでJ1昇格プレーオフの準決勝を勝ち抜き、岡山との決勝戦に進出することができた。森山佳郎監督は「選手のハードワークに尽きる」とチームを称える一方で、次に向けて「喜ぶのは今日の夕ご飯くらいまで」とすぐさま気を引き締め直して、7日の決勝戦に向かう意気込みを示した。また、長崎まで駆けつけたサポーターたちや、パブリックビューイングなどで遠くから声援を送ってくれた方々への感謝の言葉も、監督や選手たちから数多く聞かれた。一体感を増して、仙台は今シーズン最後の戦いに向かう。

reported by 板垣晴朗

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