【ユナパな話】VOL.26「スペインのお勉強」(取材・構成:西部謙司)
●さまざまなスペイン
アルゼンチン編に続いて、スペインの予備知識です。フアン エスナイデル監督はアルゼンチン人ですが、選手としてのキャリアのほとんどはスペインです。アルゼンチンのフェルカリル・オエステでデビューして1年でレアル・マドリーBですから。18歳ですよ。指導者としての経歴は全部スペインです。ですから「ほぼスペイン人」と言っていいんじゃないでしょうか。
アルゼンチンのサッカーにもメノッティ派、ビラルド派など1つでないように、スペインのサッカーも1つではありません。むしろアルゼンチン以上に分かれている感じです。というのも、地方色が強いからです。首都マドリードとバルセロナのあるカタルーニャ州では言語が違いますし、ビルバオのバスクも独自の言語と文化があります。ビルバオは雨ばっかりですけど、セビージャのアンダルシア州の気候はほぼアフリカ。文化や気候の違いはプレーにも影響しますからね。
●ロンド
リーガ・エスパニョーラが始まったころの強豪はバルセロナとアスレティック・ビルバオだったようです。バルサはスイス人のハンス ガンパー(=ジョアン・ガンペール)が創設していて当初から国際色が豊かでした。ビルバオの方は雨が7~8割という気候のせいで泥沼化するグラウンドに適したパワフルなスタイル。蹴って走れ的なプレースタイルが支配的だったことを考えると、イングランドと気候も似ているバスク地方が強かったのはうなずけます。
それから歴史はいろいろあるわけですがバッサリ割愛。現在のスペインサッカーに最も影響を与えたのはバルセロナのスタイルでしょう。エスナイデル監督はライバルのレアル・マドリー出身ですが、バルサとレアルのサッカーに大差はありません。そう言うと両方のファンから怒られそうですが、バルサに最も近いサッカーをしているのはレアルだと思いますし、逆もそうでしょう。近くで見ると違いばかり目に付きますが、離れて見ればよく似ているという。日本と韓国もヨーロッパ人から見ればほぼ同じです。
では、スペインサッカーの特徴は何かというと「ロンド」になります。
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