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2016キックオフフェスタ(文・西部謙司)2016/1/18

●華やかな新体制発表会
「キックオフフェスタって何?」と思っていたんですよ。要は新体制発表会でした。ただ、これまでのような説明会、サポーターとの意見交換会ではなく、歌あり笑いありのエンターテインメントになっていました。

今をときめく「安心してください、履いてますよ」の人も来ましたし、『U-31』の映画製作発表記者会見もありました(綱本将也さん、本物以上にGMっぽかったよ)。ショーアップされた華やかな発表会でしたね。レディースに続いて、目玉の新加入選手のお披露目があったわけですが、19人が新加入ですから、新加入選手だけで壇上がいっぱいです。当然、「これはいったい、どういうこと?」という疑問もあるわけですが、それに対する回答が高橋悠太GMからありました。

●ある意味、最大リスクは回避
高橋GMは、編成のポイントとして3点挙げています。

(1)ジェフでやりたいという強い意志のある選手
(2)クラブの意向と監督の意向のすり合わせ
(3)チームとしての課題をクリアする

まず、(1)ですが、高橋GMはFC東京やガンバ大阪が降格した際、主力が残っていた事例を話しました。では、なぜジェフユナイテッド市原・千葉は主力の大半を放出することになったのか? どうも「ジェフでやりたいという強い意志を感じられなかった」ということらしいです。千葉をJ1に上げたいのではなく「個人昇格」を望む人、チームへの不満を言う人もいて、FC東京やG大阪とは違っていた。だから入れ替えたという話でした。

昨季プレーした選手も「昇格させたい」という意志は強かったと思います。GMが面談した結果、それが感じられなかったのなら、それは昨季の結果と内容に原因がある。僕は関塚隆監督に大きな責任があったと考えています。昨季を振り返るテキストで書いた通りなので繰り返しませんが、最終節のマッチレポートから一部引用します。

【レビュー】J2第42節千葉0-2讃岐@フクダ電子アリーナ-「来季への課題は山積」(文・西部謙司)2015/11/24

9位に終わった原因は1つではないでしょう。ただ、監督および指導スタッフの責任は大きかったと、いわざるをえない。ミッションに失敗したコーチングスタッフが留任するとなると、おそらく来季はチームをまとめるのが難しくなります。ある意味、そのこと自体が最大の課題になりかねない。選手を結束させるに足る新たなプランを打ち出すか、選手を入れ替えることになるでしょうが、いずれも簡単ではない気がします

今季、関塚監督とコーチングスタッフは留任しました。となると、「そのこと自体が最大の課題」になるわけです。主力がチームに不満を持っていたとしても、それは想定内と考えるべきでしょう。で、選手がほぼ総入れ替えになったと。僕は「簡単ではない」と書いていましたが、まさかの大放出でした。ある意味、チームをまとめるには正しい方法だと思います。主力の指導部不信という最大のリスクは回避できたわけですから。もちろん、これがチームの強化につながるかどうかは、現時点では何とも言えません。入れ替えたことでのリスクもありますからね。

(2)の「監督とクラブの意向のすり合わせ」は当然ですが、印象としてはGMよりも監督の意見が通っているのかなと思います。通常、GMは3~5年を考えて編成しますが、監督は1年が勝負です。どちらかといえば今季に賭けている感じがします。

(3)の「チームの課題」として、昇格に必要な勝点、得点、失点を挙げて、それらをクリアしたいと説明がありました。具体的に数字を挙げているので説得力があるように見えますが、コレあんまり関係ないです。「70得点以上、40失点未満」を昇格のポイントというのも、そんなの皆分かってます(笑)。「何か、コンサルっぽいなあ」というのが個人的な感想ですが、多数のサポーターを前にしての説明としては、あれで良いような気もします。

●選抜チームは短期間でまとまるか?
前例がないぐらいの入れ替えが吉と出るかどうかは、開幕までの数週間でチームをまとめられるかどうかに、かかっています。

関塚監督は五輪代表を世界4位に導いた人ですから、選抜軍を短期でまとめる手腕は期待できるかもしれません。とはいえ、やはり時間は足りないでしょうね。これだけ新しい選手ばかりだと、各選手の特徴の見極めだけでも相当の時間が掛かります。その上に組み合わせをテストして、チームとして組み上げてシェイプアップしなければならない。長澤和輝、エウトン、アランダ、近藤直也あたりを幹に据えて、枝葉をつけていくことで時間は短縮できますが、幹になる選手が負傷などで使えないケースにも当然備えなければならない。あまり考えたくないですけど、不運がいくつか重なるとチームにならない事態もありえます。

選手たちも「選抜的」だということは意識していて、その分、コミュニケーションを積極的に取るようにしているとコメントする人が多かったですね。時間がない、突貫工事でやらなければならない、その状況をうまくプラスに転換できればいいのですが。

作るときには壊す必要があります。スクラップ&ビルド。取りあえずジェフユナイテッド市原・千葉は壊しました、派手にぶっ壊して更地状態です。ここに何を建てるか、それが最初の関門です。

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