「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

栗澤僚一「来年からは、また次のステージに進んでいきたい」/J1 第34節 柏 vs G大阪【試合終了後コメント】-無料記事-

○栗澤僚一

「サッカー人生でタイトルを取る人ってなかなかいないと思うし、ましてやACL以外のものを取らせてもらって、ここまでサッカー人生を長くできたのはそのおかげだと思っているし、素晴らしい経験を与えてくれたと思います」

 

−常に練習から手を抜かずに全力でやっていた。それでもサッカー人生の中では折れそうな時もあったのでは?

「ネルシーニョに会うまでは結構ありましたよ。でもその1日を妥協しない、持っているものすべてを出すとか、それで出したものに対して認めてくれるとか、そういうのが選手として、人としても成長させてくれたというのがあったので、実際にその時にタイトルも多く取っているし、それは俺の中でも大事にしていました。ここ何年間は(試合に)絡めずにチームに貢献できないというのはあったけど、でも常に全力でプレーしなければいけないというのは、自分の中で揺るぎないものがあったので、だからこそ貢献具合はわからないけど、この歳までできたんじゃないかと思います」

 

−FC東京時代とはポジションも変わりました。

「ボランチというポジションを見出してくれたのもネルシーニョからだし、そこのいろいろな幅を広げられたのも、2009年に降格はしたんだけど、その時から選手として人としても成長できたのかなと思います」

 

−プロキャリアの中でもっとも印象深い試合。

「やっぱりJ1優勝の埼スタでしょ。試合には出なかったけど、あの瞬間を味わったら、何回でも優勝したいと思うし、それが天皇杯、ナビスコカップにつながったと思うし、そういうのはタイトルを取ることによって、もっともっとという欲が出る。素晴らしいものを感じられたなと思います」

 

−今年こういう結果になってしまったのは、そういう欲の部分も足りなかった?

「今年のチームだけじゃなく、ここ数年タイトルを取れない。何が足りないのかといったら、練習での厳しさ…と一言で片付けるわけにはいかないけど、試合と同じような雰囲気、状況で、チームとしてできているかと言われれば、特に今年は(岩瀬)健さんになるまではそういう雰囲気はなかった。ただ、やったものに関しては、ラスト2試合みたいに結果が出てくるわけだから、それを知っていながらも練習からそういう雰囲気にできなかった自分の責任でもある。そこはみんなももっと真剣に考えなければいけないし、そういう日頃のトレーニングの大事さはみんなにわかって欲しかったと思います」

 

−この先は選手としてではないが、栗澤選手の“勝ってきた経験”を違う立場から伝えてく?

「そうですね。それは伝えなければいけないと思っているし、タニ(大谷)やキリ(桐畑)、タイトルを取ってきた選手も少なくなってきているし、そういう経験は必ず良い雰囲気があって、良い練習があってのタイトルだと思っているから、そこはああいう雰囲気を知っている人が伝えていくべきだと思います」

 

−引退を決めた理由は?

「今シーズン、選手がやっていて迷っている状況があって、俺も選手だからみんなの気持ちはわかるけど、言い過ぎることは立場的に違うんじゃないかと思うこともありました。俺も選手だからプレーしなければいけない。でも選手が迷っているのを見て、もどかしさを感じていて、もっとこういうことを言ってあげられたら、もっと違う言葉をかけてあげられたら…という気持ちになったというのは正直ある。今までそういうことを考えることは多くなかったので、そこで来年1年(をどうするか)と考えたときに、選手としてではなくチームに貢献できる形があるんじゃないか…という気持ちが芽生えたというか、そういう思いになったのは確か。結構思ったことはパッとやらなければ済まないタイプなので、そこに対しての後悔はなくて、もうやろうと決めたことなので、決まったのも11月中だったし、そこには全然後悔はない。次のステージで一からというか、今まで感じたことを今度は伝える側としてチームのためになれればいいと思います」

 

−レイソルを強くするために自分は何ができるか…で引退を決意した?

「そうですね。そういうのはあります。もちろん選手としてずっと試合に出たい、強い気持ちを持ってやるというのもあるけど、みんな上手いし、俺が走らなくても走れる選手はいるし、持っているものは素晴らしいものがあるから、だからこそ今年はもっとできるじゃんとか、このメンツでなんでこの順位なのとか、そういうものを考えるうちに…という部分はあると思います」

 

−今後はタイトルの味や厳しさを伝えていく。

「それもあるし、チームとしてひとつの方向に向いていないと、それはフロント、強化部も一緒で、レイソルに携わる人がレイソルの勝利のために何か自分ができるものを絶対にやらなければいけない。それは俺も足りなかった部分はあるだろうし、そういうのをみんなが考えて、勝利のためにと考えれば、絶対に強いものはできると信じているので、そういう部分を一人ひとりが強く思ってほしい。J1に復帰してそのまま優勝なんてできるチームなんだから、その可能性に懸けたいと思います」

 

−あの場で大谷選手にメッセージを送ったことについて。

「成長できたのはタニがいたから。タニが得点を取れば『俺も』という気持ちになったし、そういうのはプライベートではあまり言えなかったので、自分もそうしなければいけない、自分もそういう態度でなければいけないというのは、タニの存在があったからだと思うんですよね。タニがいなかったら自由にやっていたかもしれないし。タニ自身も苦しい思いをしたかもしれないけど、一番レイソルのことを考えているし、自分もそういう人間でありたいと思えたから。タニのレイソル愛があったから、自分もここまで10年半、長い年月をともにできたと思います。別に体も大きくない、シュートも下手くそ、特に秀でてるものはないけど、ここまでできたのは常にやらなければいけないとか、もっとできるだろうという気持ちにさせてくれたのが大きかった」

 

−レイソルでの10年半は早かった?

「あっという間でしたね、36歳と言われても若いじゃんと思っていましたし(笑)、別にケガもないし。でもあっという間に終わったということは幸せなことだと思います。いろいろ感謝されて、『ああ、引退するんだ』という実感も湧いてきたし、最近は眠れない日も多かったし、今日のためになんかソワソワしちゃって、引退を決めてから1週間ぐらい時間はあったから、これでぐっすり眠れると思います(笑)。今年は今年で、来年からはまた次のステージに進んでいきたいと思います」

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