「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

【J1 2nd 第5節 湘南 vs 柏 監督コメント】 曺貴裁監督の試合終了後のコメント -3246文字- (2015/07/29)

⚪︎曺貴裁監督(湘南)

「お疲れ様でした。ミッドウィークの夜の試合にも関わらず、とくに小さいお子さんにたくさん我々のチームを応援してもらって、夏休みの試合のこういう機会は、8月はホームゲーム1試合なので、なかなか今年ないなと思ってるなかで、非常に良い雰囲気を醸し出してもらって、今日、応援してくださったサポーターの皆さん、それからテレビの前で我々の後押しをしてくれた人たちに、すべての人におめでとうございますということを伝えたいと思います。前節の鳥栖戦から間3日あって、柏さんとやるには本当にお互いの良さを出し合うような、そういうゲームが前期できたので、その決着をつけるというか、我々は我々、彼らは彼らの良いところが出て、勝負をしようという話をずっとしてきたんですが、本当に今日のゲームは立ち上がりから最後の笛が鳴るまで、前の推進力もありましたし、コンパクトなフィールドを保ちながら、バトルする場面で我々が勝ってチャンスを作る、逆に最後体を張って失点しないように皆で頑張るというような、そういう見ている人たちに分かりやすいようなプレーで、彼らが一生懸命というか、最後まで我々のスタイルを信じてやってもらったことに、監督として非常にありがたいと思いますし、こういう試合を何試合も続けて日々成長してもらいたいし、こういう試合を何試合も続けて、ある意味こう……自信を深めるというか、我々がやってきたことを、さらにもっと磨くんだという気持ちでやってもらいたいと思いますし、柏さんは今日は本当に、1点先に取られて、ちょっと難しい展開になったと思うんですけど、2点目の失点とかも、我々にとっては運があった得点だと思ってますし、あれが無ければどう転んでいたか分からないような試合にもなったのかなと思いますから、しっかり喜ぶところは喜びますが、シーズンはまだあと12試合あるので、それに向けて、天皇杯も含めて、全体は2日間休みにしますけれど、その後、皆でまた集まって良い雰囲気ができるようにやっていきたいと思います。以上です」

 

−菊地俊介選手を前で使うアイデアはいつから?
「シーズン最初からずっと思ってました。俊介はもともと大学までセンターバックをやってたんですけど、中学まではトップ下の選手だってことも、うちのコーチの横山が指導しているので分かっていて、やはり彼の運動量とかテンポの作り方を活かせるときがあるかなと思っていて、何回か試合中にやらせたんですけど、きょうは思い切って最初からやらせました。彼自身も溌剌とやってもらったし、それ以上に亮太(永木)と俊輝(石川)が彼を活かすように後ろしっかりカバーリングして、いいかたちでボールを預けられたことはまた新しい湘南のコンビネーションというか、3人ともそんなに巧い選手ではないですけど、きちっとボールを取りに行って前を向いて越していくというような、チリでいうとアランギスみたいな選手になってほしいなと思っているんですけど、そういう感じのプレーが今日はたくさん出たかなと思って、チームにまた勇気と力を与えたなと思います」

 

−湘南はいろんなひとがいろんなポジションをできるようになっているが、そのあたりの基本的な考え方は?
「そもそもサッカー選手は2つ考え方があって、ひとつは昔のオランダサッカーというか、ポジションを完全に決めて5番6番7番8番のプレーを小さい頃から教えて磨くというやり方。僕はどっちかといったらベルマーレの選手にそういうやり方をしなくて、5番も6番も7番も8番も4番もその場所にいる選手がその場所ことをやらなければいけない。要は1対1の守備も練習もFWの選手はやるし、DFの選手も1対1の攻撃の練習をやる、単純に言えば。そういう考え方でチームをつくろうと思っていて、いまつくってる最中なんですけど、なぜかというと、たとえば我々のチームが選手を集める、勧誘する、もしくは我々のチームに来たいという選手が増えるためには、やはり単純にひととひとが関わってボールが取れるとか、ひととひとが関わって攻撃ができるというところに喜びを選手たちが感じない限りたぶんそれは成立しないと思うので、あなたは左サイドバックの選手なので、左サイドバックの2番手ですよ、だから1番手がいるから出られませんよじゃなくて、あなたは左サイドバックが得意かもしれないけどほんとうはボランチのほうがいいんですよ。その理由はこうだと。たとえば山田直輝なんかそうですよね。中盤の選手をやってたけど俺はけっこう3トップの真ん中で使うことが多いんですけど、そういった選手の新しい可能性も見出しながらチームに落としていくことが我々のチームでいちばん大事かなと。誰がクロスを上げてもいいし誰がシュートを打ってもいいし、逆に言えばみんなが守らなければいけない。というところで言うと、薫(高山)とか周平(大槻)とか今日ほんとに最初から最後までディフェンスの仕事も100%でやりながら攻撃にも出て行く。点は入らなかったですけど彼ら2人の意欲、運動量はほんとに凄まじいものがありましたし、そういう選手がたくさん我々のチームから出てきてもらいたいなと思います」

 

−遠藤航選手も湘南と代表とポジションが異なるが、監督が感じる彼のよさは?
「その話で言うと、僕は彼を中3のときから見ていて、当時からボールと敵と相手を同時に見ながらパスを出せる選手、要はサッカーセンスの問題なんですけど、華奢でしたがそれが非常にあった選手で。でも湘南に入ったとき僕が監督をさせてもらってから3バックの真ん中で最初は使っていて、要はゲームをコントロールする、ラインをコントロールする、そのなかで自分が競る、カバーリングみたいなことを最初に求めていたんですけど、あるときこのままだと19歳の選手にそういうことばかりやらせるのはチーム事情とはいえよくないなと。やはり彼がもっと成長するために1対1の場面を増やしてもっと攻撃能力をつけていかないとということで、1年目のたしか仙台戦だったと思うんですけど、夏に大野を真ん中にして遠藤を右にして使ったフィーリングが僕のなかですごくよかったので、彼もそれでまた新たな攻撃能力とか、今日も何回か取られましたけど、ひとのあいだをドリブルして運んでいくとか、ああいうことを覚えていまに至るので、それがボランチ、あるいはサイドバックとかでも同じようなプレーをたぶん求められていくと思うので、彼自身の成長とチームの成長が正比例するようにそのとき考えたんですけど、いまの時点では彼がやれることは当時より明らかに増えていますし、もともとゲームを読む力とか状況判断とか危険を察知する能力は昔から抜群なので、判断を間違わない選手ということでああいうところでよさが活かされるんじゃないかと思っていたので、これからまだまだ1対1とかヘディングとか今度代表行ったらそういうタフな戦いのなかでいろんなことがあると思いますけど、刺激を受けて堂々とやってもらいたいし、自信を持って帰ってきてほしいなと思います」

 

−8月12日までの期間をどのように利用しますか?
「5連戦だったので、出た選手には少し長めの、出ていなかった選手は2日ぐらいの休みでもっていこうと思いますけど、きょう勝ったといってこのメンバーが次も出られる保障はまったくないので、そこで言うと競争させてやっていきたいなと思いますし、我々の純粋なピッチのなかでの競争が試合に表れると思うので、実績や経験値はもちろん大事なことですけど、いま何ができて何をやろうとしてるかというのを選手たちと向き合ってやっていくことが大事なので、そのようにしていきたいと思います」

 

−FC東京との試合も組まれているが?
「FC東京さんと試合勘とか試合経験が少なかった選手にこういうスタジアム形式のところでやってもらいたいというお互いの思惑が一致したということです」

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