「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

【無料記事】【レビュー】 「後半にリズムを掴んだ柏が東京Vを下し、初優勝に王手!」 U-18プレミアリーグEAST第15節 柏レイソルU-18 vs 東京ヴェルディユース (2014/09/29)

9月28日 U-18プレミアリーグEAST第15節

柏U-18 2-0 東京Vユース

得点者:70分 会津雄生(柏)、77分 白川恵士朗(柏)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

柏U-18

GK1木村真、DF2熊川翔、3鈴木哲平、7麦倉捺木、MF4中山雄太(C)、6手塚康平、10山本健司、13安西海斗、FW8会津雄生、19浮田健誠、24白川恵士朗

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

東京Vユース

GK21児玉潤、DF27深澤大輝、MF5三竿健斗、8安在達弥、10中野雅臣(C)、11田代蓮太、14井上潮音、16林昇吾、17冨樫凌央、32渡辺皓太、FW19郡大夢

 

前半は東京Vが主導権を握った。柏のパスワークの中枢である中盤3枚、中山雄太、山本健司、安西海斗に対し、東京Vは井上潮音と渡辺皓太のダブルボランチ、そして前線の中野雅臣、郡大夢のどちらかが降り、それぞれがタイトなマーキングを見せ、そこにボールが入ると素早い寄せと球際の激しい当たりから柏のパスワークの起点を潰す。

マイボールになった直後も、柏のファーストプレッシャーを巧みに外して縦に速い攻撃を仕掛ける。特に裏のスペースを突く意識が高く、左サイドを射抜く冨樫凌央、林昇吾、そこに前線の中野と郡が絡んで柏のゴールに襲い掛かった。前半のシュート数は、東京Vの5本に対し、柏は1本。シュート数だけではなく、38分には柏の守備の背後を取り、右サイドからの折り返しを冨樫のシュートがヒットしていれば1点という決定機も作り出していた。

 

ただ、後半は「ヴェルディのボランチが人に付いてくるから、そこから逃げようとして最初から降りてきてしまっていたので、後半は高い位置に入ってから、駆け引きをして降りてくるようにした」と下平隆宏監督が修正を施し、前半は動きの少なかった柏の中盤3枚にマーカーを剥がすアクションと、的確なポジション取りが出てくると、柏の持ち味であるパスワークが前半とは見違えるようにスムーズに回り始めた。

さらに柏が60分に大島康樹、69分にデン・ヘイジャー・マイケル・ジェームスを投入すると、この選手交代がアクセントとなって、より中盤が活性化。70分にはマイケルからパスを受けた浮田健誠がパワフルに左足を振り抜き、これはGK児玉潤が辛くもセーブしたが、そのこぼれ球に反応した会津雄生が、プレミアリーグ制覇への魂が体現されたかのようなダイビングヘッドでゴールネットを揺らした。続く77分にも、大島、麦倉捺木、安西とつなぎ、パスを受けた白川恵士朗が右足で技ありループを決めて2-0、点差を広げた。

2点のビハインドを背負った東京Vだったが、最後まで執念を見せる。アグレッシブなプレスによって柏の中盤からボールを奪い取り、87分と後半アディショナルタイムにはGKと1対1になる絶好機を作る。だが、果敢に飛び出した柏GK木村真が東京Vの前に壁となって立ちはだかった。東京Vは絶好の得点チャンスを逃し、逆に柏は絶体絶命のピンチを切り抜けた。

苦しんだ柏だったが、なんとか2-0で逃げ切りに成功。柏は、前半は相手にリズムを握られたことや、試合終了間際のミスによってピンチを招いたことなど、いくつか改善点が見受けられたものの、2位の清水ユースが引き分けた結果を受けて、「なんとしても勝たなければならない一戦」(下平監督)と位置付けて臨んだ重要な試合に勝てたことはとにかく大きかった。この試合もまた、選手たちの「プレミアリーグEASTを制して、チャンピオンシップで優勝する」という強い決意が溢れ出すような勝利だった。

 

これで清水との勝点差は6に広がり、次節の市立船橋戦(11月22日@日立台)で、3年前のトップチームと同じ、「昇格初年度の優勝」の偉業も現実味を帯びてきた。

 

●試合後のコメント

下平隆宏監督

「全体的に前半は堅かったです。ヴェルディのボランチが人に付いてくるから、そこから逃げようとして最初から降りてきてしまっていたので、後半は高い位置に入ってから、駆け引きをして降りてくるようにしました。そうしたら後半はボールが回るようになり、良くなったと思います。代わって入ったマイケルがスッと入って流れを変えてくれましたね。良いアクセントになってくれました」

 

―決勝ゴールは会津雄生選手が決めました。

「会津は最近調子が良いんです。自分が持っているプレースタイルを全面的に出してくれるようになりました。チームを活性化させてくれる存在で、助かっています。たなぼたじゃないでけど、『口を開けていなかったら餅は落ちてこない』という話はしているんですが、あそこまで入らなければボールは転がってこない。そういう選手の元にはボールがこぼれてくるということを実践してくれました」

 

―全体的に運動量多く、守備意識も高かったです。

「三菱養和戦が終わってから、もっと守備を強固にしていかなくてはいけないと思い、今週は守備のところを1週間トレーニングして、終盤戦に向けて攻撃+守備をやっていけるようにしました。ただ、僕らの最大のテーマは、攻撃していることが最大の守備だと思うんです。今日はパスが途中で引っ掛かって危ないシーンもありましたので、守備に入った時間帯だけじゃなく、ボールを持った時が守備のスタートだということを再徹底させなければいけないと思います」

 

―清水の結果によって、次節にも優勝が決まる可能性が出てきましたが?

「その結果は知っていたので、今日はなんとしても勝たなければいけないと思いました。ホームであと2試合できるので、どっちかで決めたいと思います」

 

4 MF 中山雄太

「前半はフリーマンは確定していたんですけど、背後を突いたり、どうやって前へ運んでいくかというところで、自分たちのサッカーができませんでした。シュートも前半は少なかったので、そこは日々練習から改善しなければならないと思います。ハーフタイムに、相手のプレッシャーによって中盤が降り過ぎていて、相手のプレッシャーの影響を受けやすいポジショニングをしてたので、スペースを見て、相手のプレッシャーを受けない位置を意識しようと指示を受けました。それで後半はテンポ良く自分たちのサッカーができました。僕たちはチャンピオンシップに行くという目標があって、そこが現実的に見えてきているので、どうしても意識はしてしまうと思うんですけど、そこだけを意識せずに自分たちのサッカーをやっていく。そう意識に焼き付けているので、こういう試合で勝ったということは、(意識することと、意識しないことの)どっちも良い面が働いていると思います」

 

8 MF 会津雄生

「浮田があそこでシュートを打つとは感じていました。そのこぼれ球を詰めることは自分は得意だし、そこで弾いたところを詰めて決められたことは良かったと思います。先を見ないで、目の前の試合を1試合1試合勝っていこうと話しをいていたので、ヴェルディも強いので先制点が大事になると思っていました。あの時間で取れたことは大きかったです。前半はなかなかリズムを掴めなかったですけど、あのゴールから主導権を握って、自分たちのサッカーができたと思います。残りの3試合、周りのチームは気にしないで、とにかく自分たちが勝ち点3を積み上げるだけだと思うので、チャンピオンシップまで1試合1試合を全力で戦っていこうと思います」

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ