「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

【無料記事】【レビュー】 「試合終了間際の劇的決勝弾で、柏U-18が首位堅持!」U-18プレミアリーグEAST第10節 柏レイソルU-18 vs 鹿島アントラーズユース (2014/08/25)

8月24日 U-18プレミアリーグ第10節

柏U-18 2-1 鹿島ユース

得点者:16分 中山雄太(柏)、86分 鈴木優磨(鹿島)、90+3分 加藤颯人(柏)

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柏U-18

GK1木村真、DF2熊川翔、7麦倉捺木、17中島玲央、20上島拓巳、MF4中山雄太(C)、6手塚康平、13安西海斗、40デン・ヘイジャー・マイケル・ジェームス、FW8会津雄生、9大島康樹

 

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鹿島ユース

GK1山田晃平、DF3寺門宥斗、13中野純、14大里優斗、23野原有希、MF5千葉健太(C)、6大橋尚志、8平戸太貴、10田中稔也、FW9吉岡樹利也、11鈴木優磨

 

柏U-18と鹿島ユースは、今季のプレミアリーグ開幕戦、関東クラブユース選手権に続き3度目の対戦となった。また、この後にもJユースカップ予選リーグでの対戦も控えているなど、互いに手の内を知り尽くした者同士である。

したがって鹿島の柏対策は明確だった。立ち上がりこそアグレッシブに前から行く姿勢を見せたが、時間の経過とともにボールの保有権は柏に明け渡す代わりに、自陣にブロックを作り上げて致命傷となるスペースは絶対に与えない。ボールを保持して相手の陣形を崩そうとする柏と、守備的に戦い、奪ったら一気にカウンターを狙う鹿島という試合展開が続く。

その中で柏が幸先良く先制弾を挙げる。16分、左サイドのFK、麦倉捺木の高精度の左足キックから、ゴール前中央の中山雄太が左足ハーフボレーでネットを揺らした。

先に失点した鹿島だったが、上記した戦い方を変えず、1点ビハインドでも柏にボールを持たせ、自陣深くのスペースを完全に消す。柏はアンカーの安西海斗、左インサイドハーフの手塚康平が起点になり、なんとかこの鹿島の守備組織を崩そうとゾーンの間で出し入れを繰り返すが、鹿島のCBとボランチがマンマーク気味に大島康樹やマイケル・ジェームスに入る縦パスを警戒していたため、なかなか柏は攻撃のスイッチが入らず、詰まってはバックパスで最終ラインまで戻し、攻撃を再構築する展開が続いた。

下平隆宏監督が「慎重になりすぎた」と語ったように、関東クラブユースの順位決定戦で対戦した際には、柏は2-0から鹿島の逆転を許し、それで日本クラブユース選手権の出場権を失った経験があったことで、鹿島のカウンターに過度の警戒を置いていたのかもしれない。SBがリスクを冒して攻め上がる回数も少なく、パスは回すが攻撃にアクセントが出なかった。ただ、柏にすれば1-0でリードしているのだから、このまま逃げ切れば首位を堅持できる。特に無理をする必要はなかった。

 

68分、鹿島が吉岡樹利也に代えて垣田裕輝を投入。この選手交代を機に、それまで引いていた鹿島がビハインドを跳ね返すべく“前へ出る”戦い方にシフトチェンジすると、試合の流れを大きく変わる。それまでのゆったりしたパス回しに慣れていたせいか、柏のパスや連携に些細なミスが生まれ、鹿島はそこを的確に突いてショートカウンターを狙った。86分に、平戸大樹が柏守備陣の背後を取り、ゴール前へ抜け出したところで、後方から追ってきた手塚がファウル。鹿島はこの絶好のPKを鈴木優磨が決めて1-1とした。

このままドローで試合終了かと思われた後半アディショナルタイム。CBの上島拓巳が持ち上がった時、手塚が前線を追い越して深い位置取り、そして鹿島DFの後方からのタックルに潰されながらもダイレクトで右サイドの白川恵士朗へ落とす。カットインから白川が放った左足シュートはGK山田晃平がセーブしたが、詰めてきた浮田健誠や体を張って防ごうとする鹿島守備陣でゴール前は混戦状態に。そこにフッと顔を出したのは右SBの位置からゴール前まで上がってきていた加藤颯人。「最近は紅白戦や練習試合でも点が取れていた」と、その調子の良さから抜擢した下平監督の起用に応え、加藤が決勝弾を挙げた。

 

このゴールの直後、試合が終了した。2-1で劇的に勝ち切った柏が首位を堅持するとともに、2位の清水ユースが札幌U-18に引き分けたことで、その差を4ポイントに広げた。

 

●試合後コメント

 

下平隆宏監督

「人にマークをしてくるから、厳しい戦いになるだろうと予想はしていました。鹿島はよく鍛えられていて、心が折れないし、最後まで頑張る。一人一人の守備の能力も高い。これまでの鹿島戦も、1回はめてきて、こちらがフリーマンを作ると下がって守るという形を作られました」

 

―途中から白川恵士朗、伊藤達哉を投入しましたが。

「恵士朗はスタートから出していい能力を持った選手です。後から入った方が色を出せるというのもありました。最後になんとなく仕事をしてくれました(笑)。入った瞬間から守備でも助けようとしていたので、そういう意識が見られたのも良かったです」

―最後に勝ち切れたのは、選手の気持ちの面も含めて夏の練習の成果でしょうか?

「ロスタイムに点を取って勝つというのはなかなかないことですから。最後まで一生懸命やると良いことがあるのかなというのを実感しました」

―加藤颯人が起用に応えましたが?

「練習試合から結構点を取っていたんです。紅白戦や練習試合で点を取ったり、遠征した和倉ユースでも点を取ったり、いつも良いところで出てくるんです。ぎこちなくゴールして(笑)。足が非常に速くてアップダウンができるので、守備のクオリティーはクマ(熊川翔)の方が上かもしれないけど、クマにないものを持っていますので、何回もアタックに行けるというストロングを持った選手で、90分、あれをやれるんです」

―プレミアリーグの後半戦開幕としては、非常に良いスタート切れたのでは?

「弾みが付きそうなところを、しっかり足元を見ていきます。まだまだ課題も多かったので。アタックのところをもうちょっと工夫したかったけど、コンビネーションが合わなかったり、回数が少なかった。こういう展開になるのは分かっていたので、取り切るというところが、ちょっと慎重になりすぎたのかもしれない」

 

6 MF 手塚康平

「アンカーの時よりゴールを意識して入りました。立ち上がり、相手が来たら、会津(雄生)が降りて、その背後を狙っていこうという話だったんので。引かれるとやりにくいですね、自分のところにスペースがないので、降りてプレーしたりしていました。この夏は2部練があって、そういう苦しい中でも頑張るとか、そういう部分は身に付いたと思います。PKを与えたのは自分なので、なんとかして取り返さなければいけないと思って、最後に(上島)拓巳がフリーで持った時に走ったら、良いパスが来たので良かったです」

 

15 DF 加藤颯人

「最近、ゴールを取れていたんですけど、まさかここで取れるとは思っていませんでした。たまたまこぼれてきて、運が良かったんだと思います。自分は極端に言えば攻撃だけだと思っているので、そこを生かさないと自分じゃない。途中出場でしたけどそこを出せるようにしようと思っていました。点は取れると思っていなかったですけど、アシストはしようと思っていました。入った時は1-0で勝っていたので、まずは守備からで、オーバーラップは行ける時だけと言われていたんですけど、同点になったので、ここは自分の判断で行かなくてはダメだと思いました」

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