「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

【無料記事】【レビュー】 「粘り強く戦った柏が首位決戦を制す!」 U-18プレミアリーグEAST第9節 柏レイソルU-18 vs 清水エスパルスユース

7月20日 U-18プレミアリーグEAST第9節

柏U-18 1-0 清水ユース

得点者:1分 中山雄太(柏)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

首位・清水ユースと2位・柏U-18による注目の首位攻防戦は、試合開始早々にいきなり動いた。

左SBの古賀太陽から右SBの熊川翔への大きな展開から、熊川のクロスをこの試合が怪我からの復帰戦となったキャプテン中山雄太がヘッドで決め、1分に柏が先制する。

その直後こそ清水がアグレッシブな姿勢を見せたが、そのプレスを柏が持ち前のパスワークでいなしながら、主導権を握る。中でも右サイドからの攻撃が鋭く、12分には会津雄生のドリブルから右サイドの熊川のクロス、20分にも右サイドのスペースに抜け出した白川恵士朗がゴール前に折り返すなど、追加点が決まってもおかしくない場面を作り出した。

 

柏のポゼッションの前にボールの奪いどころを見出せず、押し込まれていた清水だが、ビッグチャンスは40分に訪れた。左サイドの望月大のクロスが風に流されたことでDFが処理を誤り、ファーサイドの西澤健太のヘッドが枠を捉える。ここは柏のGK木村真がファインセーブでCKへ逃れた。

 

後半は前半のペースから一転し、一方的な清水ペースになった。清水が高い位置からハイプレスを仕掛け、その圧力によって、柏のパスにわずかにミスが生じ、微妙なパスのズレを清水が逃さずに奪い取ると、その勢いに乗じて一気に柏のゴールへ襲い掛かった。深くまで押し込まれた柏は、清水のプレスをパスワークで回避できず、クリアで逃げるため、結局はそのボールを清水の最終ラインや中盤に拾われ、波状攻撃を浴びた。

清水は多彩だった。森主麗司、梅村豪のダブルボランチ、CBの宮本航汰と、ボールを動かせる選手を中心に柏のプレスを外しながら、パスワークで相手の陣形を動かしつつ、大きな展開で相手の裏を狙い、テクニックと機動力のある水谷拓磨、白鳥速巳、望月、西澤がグイグイとスペースへ入り込む。

ただ、この大一番での最も目立ったのは、そんな多彩な攻撃を仕掛けた清水のアタック陣ではなく、彼らの前に立ちはだかった柏のGK木村である。

「後半は絶対に相手は出てくると思って準備をしていた」と、清水の裏への鋭い攻撃を想定していた木村は、1対1の絶体絶命の場面でも冷静だった。絶妙なタイミングの飛び出しを見せ、61分、79分、88分と、清水の3度の得点機会を阻止。「今日はノイアーのスーパーセーブを見て、イメージトレーニングをしていた」(木村)と話したように、まさにノイアーばりの飛び出しで、チームの窮地を救った。

勝利した柏は、これで首位に浮上。下平隆宏監督やキャプテンの中山は、勝利にを手にするも、自分たちの理想の形で勝利できなかったことに反省の弁を述べていた。しかし、守備が決壊して日本クラブユース選手権の出場権を逃した6月の戦いを考えれば、こうした苦しい試合でも泥臭く勝ち切れたのは、明らかに選手たちの成長の証である。

 

●試合後のコメント

下平隆宏監督

「得たものは勝ち点3だけでした。相手がリスクを冒して前からプレスをかけてきて、そこをシンプルに裏を返して、深い位置を取って押し込みたかったんですが、どうも引き気味になってしまいました。もちろんエスパルスは力があって、何点も取れる攻撃力を持ったチームなので、それを0で抑えたのは評価はしますが、主導権を握るサッカーをやる中で、後半は全然ボールを持てなかったので、そこは反省点です。守備に追われる時間が長くて、攻撃の時にパワーを出せないという、うちがやりたいことをエスパルスにやられた感じです。

今日は木村が決定機を何本も止めてくれました。あれがなかったら普通に負けていましたね。単純に首位に立てたことは嬉しく思います。ただ、いつも内容を伴って勝つというのがレイソルなので、首位に立った反面、今日は複雑です。みんなすごく頑張ってくれたし、ただ些細なミスから流れを変えてしまうことがあって、1本のパスミスで持っていかれて、押し込まれる時間帯が続いたことが、後半に守備に終われた原因だと思います。ボールを動かして、相手を動かして、スペースを取りに行って、押し込んでいくということができればよかったんですけど、そういうミスが少しずつ見え始めて、相手に『プレッシャーを掛けていけば取れる』と思わせてしまいました。『行っても取れない』と思わせるのがレイソルなのに、取れると思わせたら相手は出てきてしまうから、そこで剥がせなかったというか、プレッシャーを回避し続けられなかったため、こういう試合になってしまいました。前半はすごく良い入りをして、ゴールも決めて、その後のチャンスで2点目、3点目を奪えていれば、また違った展開になったんでしょうけど。ただ、最後は1点を守り切るという流れになって、あそこまで守り続けて失点しなかったことは多分ないと思う。粘り強くやった結果なので『よく頑張った』と選手を褒めてあげたいけど、理想的な勝ち方ではなかったので、『僕らの目指すところは違うよ』、とはっきりさせておきたい」

 

4 MF 中山雄太

「前期の最終戦で、本当はそれだけにこだわって試合をやるのはいけないんですけど、みんな気合いが入っていて、それが結果に出たのは嬉しいことです。でもそれに一喜一憂せず、自分たちのサッカーができたかといえば、後半は全然できず、勝てたという気にはならないです。勝ったから良いではなく、僕たちは日本クラブユース選手権は敗退しているわけだから、たまたま勝てたのかもしれないし、後半だけを見た人はエスパルスが勝っていると思うかもしれない。夏休みに入りますが、僕たちはクラブユースに出ないので、クラブユースに出場するチーム以上に練習していくつもりです。

前半は、レイソルがボールを握れていたと思うんですが、僕は復帰戦だったので慌てずに入ろうと思っていました。そうしたら周りが良く見えていたので、(先制点は)熊川のクロスからだったんですけど、相手と熊川のことが見えていたので、自分的には冷静でした。それがゴールにつなかったのかなと思います。

前半は自分たちがフリーマンを明確に作って、深い位置に入り、”Dエリア”という位置に自分たちが入って、相手もペナルティーエリアに張り付け状態で、自分たちの良いリズムでできていました。でも後半は、エスパルスが前からプレスに来て、それを背後のボールなどで相手の気持ちを折りたかったんですけど、それが続かなかったので後半は守備に追われる展開になってしまったと思います。自分たちの攻撃スタイルで、高い位置で攻撃し続けて、ダイレクトプレッシャーで高い位置でボールを奪うのが理想です。自分たちが引いた中でのディフェンスは、そんなにやってきたわけではないけど、自分たちの気持ちの面で最後まで行けたのは、今日たまたま続いただけかもしれない。これを夏休みに、気持ちの面でもプレーの面でも続けられたら、もっと良いチームになれると思います」

 

1 GK 木村真

「後半は絶対に相手は出てくると思って準備はしていました。それが良いセーブにつながったと思います。エスパルスの北川選手は代表にも選ばれていて、話を聞いていても脅威だなと思っていました。でもCBの2人、(鈴木)哲平と(手塚)康平も頑張ってくれたので、相手を抑えきれたわけじゃないけど、無失点で抑えられたのかなと思います。前節の青森山田戦も、セットプレーですけどみんなが理解して、つながって守備ができました。ちょっと前だったら、クラブユースの鹿島戦のように、すぐに失点してしまいましたが、そういう経験があったので、守備からという意識がありました。

今日は首位決戦で、朝から緊張というか、ソワソワしていました(笑)。片手で止めた1本のセーブから、自信じゃないですけど、今日は乗りました。入りも良かったんで、今日はノイアーの動画を見ていて、スーパーセーブを見てイメージトレーニングをしていました。身体の大きさは違いますけど、相手が背後を狙ってくることは意識していたので、できたのかなと思います(笑)。でもキックミスが多かったので、そこは直していかないといけない。遠くに蹴れないと相手も困らないし、キックに関してはダメでした。

今日は(上島)拓巳が(代表で)いなかったけど、哲平も康平も普通にできているので、安心して僕はいつもどおりプレーできました」

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ