「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

加入2日で大きな影響を与える柴崎岳/【コラム】

鹿島から日本代表の中心選手に育っていった選手は多い。近年の代表では、内田篤人と大迫勇也が代表のレギュラーとして活躍した。

代表クラスの選手ともなると、日々の練習から圧倒的な存在感を放つ。内田であれば飄々としながらもほぼ選択にミスがなく、大迫であればボールを失わない力強さとシュートの決定力の高さは目を見張るものがあった。

ただ、本格的な練習に入る前のアップ段階では、彼らどちらかというとゆったりギアをあげていくタイプだったように思う。1本のダッシュで最後まで全力で走り切っていたかというと、どちらかというと小笠原満男の系譜に連なる選手だったような気がする。あの時代、真面目に取り組むのは青木剛の役割だった。

だからこそ、柴崎岳が見せる姿勢は衝撃だった。

最もうまい選手が、最も手を抜かない。決して、走ることを特長とする選手ではないはずなのに、自らに一切の妥協を許さない。誰かと比べてどうこうということではなく、自分のなかにある己の限界や理想と競い合う。それを最も若い選手が誰に言われるまでもなく実践する姿は、驚き以外のなにものでもなかった。

いま思えば、競ってさえいなかったのかもしれない。歯を食いしばって、自分の精神的な未熟さや弱さと向き合う感じさえなかった。自分が目指すべき地点に到達するには、それをやるのが当然と100%理解しているため、悲壮感や辛そうな感じは全くなかった。プロサッカー選手であるならば、そうあるのが当然のこととして取り組む。意識の高さだけで言えば間違いなく歴代NO.1は柴崎岳だろう。

 

その彼が、30歳を超えて鹿島アントラーズに戻ってきた。

 

 

(残り 1376文字/全文: 2070文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ