「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

ポジション争いを激化させる染野唯月の2得点/【レビュー】練習試合@ 鹿島アントラーズ対Vファーレン長崎

このチームで一番巧い選手は誰かと聞かれたら、ディエゴ・ピトゥカか染野唯月と答えるだろう。ボールコントロールの基礎技術の高さは言うまでもなく、左右両足で遜色なくボレーシュートにミートできるしなやかさは、彼以外、誰も持っていない特級の技術だ。視野が広く、パスも出せて、シュートも巧い。染野唯月は三拍子揃った選手だ。

しかし、彼は兄貴分の鈴木優磨や上田綺世が一緒にいると、なかなか前に出ようとしない。俺が、俺がとガツガツした姿勢を見せることはほとんどなく、いつも彼らにパスを出すことばかり考えているように見えていた。

しかし、今日の染野は一味違った。

「(岩政コーチから)ボールを触りながらゴール前に入っていくというところを言われていました。その形をできたことが結果につながった、点にもつながったのかなと思います」

組み立ての部分に顔を出し、ボールを前進させることに関わりながらゴール前に入っていく。そのセンスは個性豊かなFW陣のなかでも染野が得意とするところ。こぼれ球を正確に蹴り込んだ1点目は少し違った形かもしれないが、小田逸稀からのクロスに飛び込んだ形は、まさに染野が求められていた動きだった。もう1点、左からのクロスをしなやかなボレーで叩いた場面は惜しくも左ポストに阻まれてしまったが守備の部分でも大きく貢献し、FWの激しいポジション争いに名乗りを挙げた。

 

 

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