20冠を獲得してきた準備の仕方では通用せず/【レビュー】天皇杯準々決勝 川崎フロンターレ対鹿島アントラーズ
いまできる最高の備えで臨んだが、試合内容は全くの完敗だった。安西幸輝、町田浩樹、荒木遼太郎、常本佳吾らが涙を見せたのは、勝てると思ってすべてを賭けて戦ったが、予想に反して全く歯が立たなかったからだろう。
「この大会にかける想いというのは、アントラーズの選手、スタッフ含め、かなり思い入れのある、このタイトルを絶対に取りたいという試合だったんですけど、非常に残念な結果になってしまいました」
さすがに26歳の安西は、オンライン会見の際には表情も声色も普段の様子に戻っていたが、悔しい思いは隠しきれない様子だった。
担当記者になったのは2008年からなので、これまで鹿島が獲得してきた20冠全てのタイトルについて、つぶさに見てきたわけではない。ただ、半分近くはどういうシーズンを過ごし、どんな練習で日々のトレーニングを積んできたのか見てきた。チームの雰囲気の変化も感じ取ってきた。
この試合はタイトルがかかった試合ではなかった。しかし、準備に臨む選手たちの様子を見る限り、タイトルマッチと同じくらいの意気込みだったと思う。そして、タイトルがかかった試合では勝つことも負けることもあるとはいえ、過去の事例と比べても今回の準備は悪くないレベルまでチームの結束力は高まっていた。
それでも、今回の試合のなかで、いくつものタイトルをもたらしてきた“鹿島の良さ”が発揮できたのかどうかはわからない。わからないくらい別次元のところで勝負は決まってしまった。
準備の仕方が悪かったり、試合に入ったときのメンタリティがおかしな方向に向かってしまった訳でもない。これまでの鹿島のやり方ではもう歯が立たなかった。
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