川崎Fにまたも敗れる。その差は果たして縮まったのか?/【レビュー】明治安田J1第17節 川崎フロンターレ対鹿島アントラーズ
彼我の差は大きかったのか小さかったのか計りかねている。川崎Fが強かったのは確かだ。最悪、前半のうちに試合を決められてしまってもおかしくなかった。試合開始直後、1分も立たないうちにピトゥカが自陣でボールを失い、三笘薫に持ち込まれ犬飼智也のスライディングで滑らされたときは失点を覚悟した。辛くもシュートはポストをかすめて外れていったが、あれが入っていたらどうなっていたかわからない。
その後も立て続けに決定機をつくられ19分にレアンドロ・ダミアンに先制点を許す。DAZNの解説だった岩政大樹さんがわかりやすく説明してくれていたが、崩された形は確かに鳥栖戦でも見られていたやられ方だった。ただ、ザーゴさんのときから最終ラインのスライドが遅れたときは何度も見られた形でもある。SHとSBのスライドのギャップをうまく突かれた。
形としてはこうだ。
谷口・ジェジエウ・シミッチのトライアングルで上田綺世と小泉慶に対して数的優位をつくる→ジェジエウに上田が遅れて寄せる形をつくる→ジェジエウが持ち上がる→左SHの荒木遼太郎の背後に山根視来が動き出し荒木を置き去りにする→仕方がないので永戸勝也が前に出て対応する→永戸の背後に生まれたスペースに田中碧らが飛び出す
得点の場面は山根のセンスが光った。背後のスペースに飛び出した選手(家長昭博)を使うのではなく、その一つ先のレアンドロ・ダミアンに、カーブをかけながら転がすパスを使った技ありの崩しだった。
しかし、絶望的に思えた前半から鹿島は立て直した。後半は、相手の良さを消し、同点に追いついただけでなくシステムも変更させた。そこで試合を完全に掌握する力がなかったのは残念だ。相手の選手交代で逆にトドメを刺されてまたも敗れた。
ただ、立脚点をどこに置くかで見え方はずいぶん変わる。監督交代から1ヶ月半、細かな部分はほとんど整備できていないなかでも、自分たちの時間をつくることができたと見るのか、はたまたここ数年と変わることなく敗れたと見るのか。
正直、まだどちらなのかわからない。ただ、相馬直樹監督のミッションはより明確になった。10月の再戦までに川崎Fとの差を縮めること。その道筋も見えてきた。
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