大岩剛と小笠原満男/【コラム】追憶のアントラーズ(08season⑥)
これまで書きためてきた取材ノート51冊をふり返りの第6回目。
チームの方向性を一つにまとめることは簡単ではない。一度に試合に出られる選手は11人のみ。しかし、1年間のシーズンを11人だけで戦いきることは絶対に不可能なことだ。ベンチ入りできる7人を含めた18人のモチベーションを保つだけならなんとかなるだろう。試合に向けたトレーニングも現実味を帯びており、自分が試合に出たときを想定して準備を重ねることは難しくない。
ところが、チームはそれだけでは成り立たない。18人以外の試合に出られない選手たちの役回りが非常に重要になるのだ。むしろ、彼らのモチベーション=チーム全体のモチベーションと言っても過言ではないだろう。
チームのトレーニングは全員で行う。通常、アップを兼ねた基礎的なトレーニングから始まり、次の試合で狙いとなる戦術的なトレーニングやチーム全体の動きの確認で終わるのがつねだが、モチベーションの高い18人だけで練習を行うことはできない。例えば紅白戦を行うには22人の選手を揃えなければならない。単純なパス練習をするだけでも、一つのメニューに真剣に向き合っている選手と、集中力が散漫になっている選手とが混在してしまうと、一気にトレーニングの質は下がってしまう。
ボトルネックになってしまう人がいると、組織全体がそちらに引っ張られてしまうのは会社組織でも同じだろう。30人弱の組織の中に1人、2人が混じるくらいなら問題ないが5人を超えてくると一大勢力となってしまう。
鹿島アントラーズクラブハウス練習場の雰囲気は、そうした異物が混入することを許さない雰囲気がある。小笠原満男も言っていたが、練習から逃げてしまう選手にはどうぞ他へ行ってくれと促せる質実剛健さがある。
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