「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

★無料記事★DF2内田篤人「ほんとのMVPは大迫だけど、オレのなかでは源も。昨日はあいつだった」/【プレイヤーズファイル】

ワールドカップで日本代表がコロンビア代表に2-1で勝利した。テレビをつけても、ラジオをつけても、聞こえてくるのは「大迫半端ない」の大合唱。アジア勢で初めて南米勢から勝利を奪った快挙に日本中が大いに沸いている。

ブンデスリーガ1部で4シーズン戦ってきたストライカーの力は半端なかった。「大迫半端ない」というフレーズは、サッカー界ではすでによく知られたものだが、たまたま聞いていたラジオでは「あなたの半端ないエピソードを募集します」と社会現象にさえなりつつあった。海外メディアでも大迫のゴールを機に「半端ない」のエピソードが紹介されている。

歴史的な勝利の翌日は大迫だけでなく、1点目のPKを冷静に決めた香川真司、冷静にゲーム展開を見極めて組み立てていた柴崎岳らに関する記事がたくさん配信された。しかし、勝利の貢献したのは彼らだけではなかった。影ながらチームを支えた選手に言及するのは、真実、視野が広くなければできない。

「大迫とか、岳とか、点を取った真司とかもちろん注目されるけど、オレのなかではやっぱり源はすげーな、と思います」

内田篤人は、昌子源のパフォーマンスを褒め称えた。

 

 

代表チームでも一緒になることは何度かあったが、試合で一緒にDFラインを組むのは鹿島に戻ってきてから。「源やナオにいまさら言うことはない」と信頼を示してきたが、それは、あくまでJリーグやAFCチャンピオンズリーグというアジアが舞台での話し。吉田麻也のようにイングランド・プレミアリーグで日常的に外国人選手としのぎを削っているわけではない。海外でプレーしている選手はひと目見て体の分厚さが違う。あの柴崎岳でさえ、スペインに渡ってトレーニングするだけで首から肩、背中にかけての筋肉は大きく成長した。日常が与える影響力は計り知れないくらい大きい。だからこそ、余計に昌子が南米コロンビアとのガチンコ勝負にも憶することなく普段どおりのプレーができていたことが際立つのである。

「もちろん、吉田(麻也)が引っ張らなきゃ話にならないんだけど、そこの相方の源が普通に、あれだけ落ち着いてプレーできるのはオレのなかでいちばんビックリした。横で見ててプレーできるレベルというのはわかっていたけど、W杯の本番にポンって急に入ったときにしっかりプレーできる源というのはもっと評価すべきだと思う」

 

言及したのは守備だけではない。コロンビア戦では10人になった相手の右サイドに攻撃的なキンテロが入っていたこともあり、日本代表は左から攻めていることが多かった。長友佑都と乾貴士という左サイドの選手に加え、柴崎岳や香川真司も絡むことで分厚い攻撃を仕掛けることができたが、内田はそれを支えたのは昌子だと指摘する。

「左がガンガンいけてたというのは、あいつがパススピードをちゃんと気にして出してたから。だから左はうまく前にボールを運べてたんだっていうのを誰か気づいてるのかな。大迫は点を取っただけじゃなくて、スライディングでピンチも止めた。ほんとのMVPは大迫だけど、オレのなかでは源も。もうちょい(記事を)出してあげて欲しいね。昨日はあいつだったね」

 

次の試合はポーランドをほぼほぼ封じ込めたセネガルである。

「セネガルは強いよ。ドイツでやっていたときにカメルーンの奴に聞いたんだけど『アフリカでどこが強いの?』って聞いたら『セネガル』って言ってたから。組み合わせが決まる前だったけど、それはよく覚えてる。こうなったら変に冷静にならずにこのまま行ったらいいと思う。日本人には足らないと思うね、そういうところは。勝って兜の緒を締める、じゃないけど締めなくていい。このまま行ったらいいと思うよ」

それは昌子個人にも言えることだろう。「すぐ調子に乗る」と言われがちだがここは大いに調子の波に乗っていいときだ。

鹿島がまだオフの期間だったとき、こんなことがあった。自主練を行うためクラブハウスに来た内田篤人は、わざわざ自分のトレーニングウェアではなく昌子源と植田直通のパンツを履いたのである。それは後輩にW杯を託した男の小さなエール。

「2勝1敗で3チームが並ぶこともあるし、1つのゴール、5m1mという勝負どころがここから先は大事になる。たのしんでやって欲しいです。怪我なくね」

 

 

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