メキシコがドイツを撃破!「ハリルホジッチ・プラン」を見たかった!?/【日本代表コラム】
前回王者のドイツをメキシコが1-0で撃破した。
マンマークで選手を捕まえてCBのボアテングにボールを持たせるところから始まり、マークを嫌がるクロースがサイドに流れるところを逆用し、空いた中央のスペースを利用してカウンターを仕掛ける。幾重にも張り巡らされた罠でドイツを絡め取り、鋭いカウンターで仕留めるロサリオ監督のすばらしい戦術が際立つ試合だった。
前回大会、ドイツを苦しめたのはアルジェリアだった。同じようにマンマークを駆使してカウンターで苦しめたが、最後の最後で仕留め損ねたのだが、それ以上のすばらしい試合をメキシコが見せた。両チームの戦術的駆け引きが高度なレベルで90分続く、大会屈指の好ゲームとなりそうだ。
そして、それと同時に大会直前に解任されたハリルホジッチを惜しむ声も強くなっている。前回大会でアルジェリアを率いていたのはそのハリルホジッチであり、日本代表でもまさにこうした戦い方を志向していたからだ。しかし、その”日本代表”はもう見ることはできない。もし、19日のコロンビア戦に日本代表が敗れることがあれば、そうした声はもっと強くなるだろう。
ハリルホジッチが日本代表でなにをしようとしていたのかを理解するには、五百蔵容さんが著した「砕かれたハリルホジッチ・プラン」に詳しい。
戦術がどんどん高度化する現代のサッカーシーンにおいて、ハリルホジッチがどのようなビジョンで日本代表を構築し、どういうエリア戦略を持って本大会に挑もうとしていたのか、ハリルホジッチがアルジェリア代表を率いてドイツ代表をあと一歩まで追い詰めた戦いから振り返り、日本代表を率いてからの試合もつぶさに振り返ることで、その姿を明らかにしようとする本書は、読んでいてドキドキする展開をたのしむことができる。
ロシアW杯を戦う日本代表を見る前の必読の書と言えるだろう。
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砕かれたハリルホジッチ・プラン 日本サッカーにビジョンはあるか? (星海社新書)
ただ、個人的には日本代表がメキシコ代表のような熱い戦いを見せられたかどうかは懐疑的に見ている。メキシコ代表はロサリオ監督と選手たちは強い信頼関係で結ばれていたが、残念ながら日本代表ではそうした絆を感じることはなかった。監督は手応えを感じながらチームづくりを進めていたのかもしれないが、監督の采配や「縦に速く」(「砕かれたハリルホジッチ・プラン」では否定されているが、実際に選手はかなり雑な指示を出されている)という指示がなぜ強く徹底されるのか選手に対して十分な説明がなされることはなかった。
日本サッカー協会は「コミュニケーション」を問題点にハリルホジッチを解任したが、確かにチームは正常な状態ではなかったのである。それでどこまで統一感のある戦いができたかは疑問が残る。
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