「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

DF22西大伍:胸の内に抱える密かな野望/【プレイヤーズファイル】

冒頭15分の公開練習は16時からだった。まだ暑さが残っており、じっとしていても汗が噴き出してくる感じがする。その環境に体を慣れさせるためか、羽田憲司コーチが指示した練習はゆったりしたペースから始まった。三人一組でのパス交換。最初は三角形をつくって足下にパスを出すものから始まり、次はスペースにパスを出して動いていく。

小笠原満男、金崎夢生、遠藤康の3人が組んだグループでは、小笠原がわざと広大なスペースにパスを出し金崎を苦笑いさせていた。ボールを追うスピードはジョギングよりもさらにゆっくりしたもの。どのグループも似たり寄ったりで、少しずつ体を慣らしていった。

そこに、突如、一陣の風が走り抜ける。

3人の選手たちが”クリスクロス”の動きで、すばやくボールを前に運んでいく。その様子は、まるで上海上港にカウンターを仕掛けるときのよう。西大伍に土居聖真、そして中村充孝。なかでも西の躍動感が目にとまる。普段はクールを装うが、体の奥から湧いてくる欲求は、レースを前にして荒ぶる駻馬のようだった。

 

(残り 816文字/全文: 1264文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ