福島ユナマガ

DF鈴木翔登「プロキャリアを始めた時から、自分の持っているろうそくの灯がたぎらなくなったら身を引くと自分と約束していた」【惜別コラム】

6月23日に現役引退を発表した福島ユナイテッドFC DF鈴木翔登が7月2日明治安田生命J3リーグ第15節カターレ富山戦後引退セレモニーを行った。セレモニーでの挨拶後は昨季在籍した富山の選手も加わって、温かく見送られた。まずは鈴木のセレモニーでの挨拶をお送りしたい。

【DF鈴木翔登引退セレモニー挨拶】

すみません、まずセレモニーで挨拶をさせていただく前に、カターレ富山の佐々木陽次選手、今日誕生日です!おめでとうございます!拍手お願いします(場内拍手)。陽次、誕生日おめでとう!陽次のことをお祝いしたくて、チームにお願いしてしまいました。

福島ユナイテッド39番鈴木翔登です(場内拍手)。まずはこのタイミングでチームを離れる決断をしてしまったことを福島ユナイテッドに携わる全ての人にお詫びを申し上げたいと思います。すみません。

そして福島ユナイテッドのフロントスタッフのみなさん、強化部のみなさん、現場の監督をはじめ選手のみなさん、僕がこの決断をするにあたって、尊重してくれたことを大変感謝申し上げます。ありがとうございます(場内拍手)。

そして本日このような素晴らしいセレモニーを開いていただき、たくさんの富山のサポーターにも足を運んでいただき、大変感謝しています。こんな幸せ者はいません。ありがとうございます(場内拍手)。

何から話して良いかというのをずっと考えていたんですけど、リリースで出させてもらったように、僕は23歳の時にプロのキャリアをスタートさせてもらってから、自分が持っているろうそくの灯が少しでも小さくなったり、たぎらなくなったりした時に身を引くというのを自分と約束しました。

今シーズンは少し灯が小さくなっている中、何とかもがいて、何とかチームのために貢献したいという気持ちでやってきましたが、心と体のバランスがうまく取れずに今回決断させてもらいました。決してチームのみんなと仲が悪かったとか、監督とめちゃくちゃ揉めたとか、強化部の人とケンカしたとか、フロントの人に文句言いまくったとか、後輩からめちゃくちゃいじられて嫌になっちゃったとか、そんな気持ちは全く無いし、そんな事実も一切無いです。なので、顔は怖いですけど、今回このタイミングでそういったチームの揉め事ではありません。

自分自身、サッカーのキャリアをスタートしてから、応援を感動で返すことをモットーで走り続けてきました。どんなに苦しい状況でも歯を食いしばってチームのために走り続けることや、自分を押し殺してでもチームの勝利を自分の喜びとして走り続けることをずっと意識してやってきました。昨年の富山のシーズンでも、今年の福島でのシーズンでも、試合に出るという目標はなかなか達成できなかったし、応援しているみなさんにそういった姿を見せることはできなかったけれど、僕は自分がプレーしてきたこの2年間に嘘は無いし、一生懸命チームのことだけを考えて走り続けてきたつもりです。

正直、悔しい思いはたくさんしたけれど、チームが勝つ可能性が1%でも上がるのであれば、身を粉にしてチームのために徹する、その意識で走ってきました。今思えば悔しいばかりのサッカー人生でしたし、なかなか嬉しいことの方が少なかったけれど、この後ろにいる選手のみんなだったり、スタッフをはじめフロントのみなさま、そして富山の選手のみんな、ファン、サポーターのみなさま、そしてここに来てくださったみなさんに出会えたことが何よりも一生の財産です。本当にサッカーをやって良かったと思いますし、最高だったなと思います。みなさんのおかげです。ありがとうございます!(場内拍手)

サッカーを始め、福原サッカークラブ、坂戸ディプロマッツ、流通経済大学附属柏高校、流通経済大学、ロアッソ熊本、ギラヴァンツ北九州、カターレ富山、そして福島ユナイテッドに携わる全てのみなさんに、ここで感謝申し上げます。ありがとうございます。

最後になりますが…(少し間を空けて)…プロになる中で…大けが無く戦い抜くことができたのは、両親が丈夫な体で産んで育ててくれたからです。今シーズンもフルで戦い抜きました。本当に両親には感謝しています。ありがとうございます(場内拍手)。

今日でサッカー選手を引退します。本当にありがとうございました(場内拍手)。


富山からの移籍で福島に今季新加入した鈴木。ベテランセンターバックとして、チームを引っ張る役割が期待された中、特に序盤戦は失点が少なく若いDFが結果を出したこともあって、なかなか出場機会に恵まれなかった。

そんな中でも鈴木は練習から全力でストイックに取り組む姿勢を見せ続けた。経験の少ない選手にも積極的に声を出し、叱咤やアドバイスを行う。試合出場こそ少なかったが、鈴木が果たした役割は大きいものだった。

服部年宏監督もそうした鈴木の姿勢に感謝の気持ちを語っていた。6月18日(土)明治安田生命J3リーグ第13節FC岐阜戦のしばらく前に引退の意向を聞かされ、その週の練習後に鈴木と話し込む姿もあった服部監督は鈴木の引退についてコメントしていた。

「自分の立ち位置、年齢的なことも考えて若い選手に話してくれていましたし、練習でも声かけしてくれて助かりましたよね。逆にこちらとしては遠征メンバーに連れて行かなかった時も、控え組の練習が締まっていたのは彼のおかげだと聞いていたので、感謝しか無かったので、引退については驚きました。

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