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【無料記事】ごまかしの通じない相手。最後まで守備の集中を切らさず、少ないチャンスで決めきりたい【天皇杯2回戦浦和戦プレビュー】

6月1日(水)19:00~浦和駒場スタジアムで天皇杯2回戦浦和レッズ戦を迎える。

浦和は昨季よりスペイン国籍のリカルド・ロドリゲス監督を招聘。スペイン流のポジショナルプレーを浸透させ、攻守に良い立ち位置を取る先進的なサッカーを繰り広げている。ただ、ここ最近は負傷者が多いこともあってか、ある程度ボールを保持しながらもゴールを決めきれない状況が続いており、リーグ戦9試合勝ちなしという状況となっている。ただ、この試合で自信を回復させたい、と高いモチベーションで臨んでくるのは間違いない。

福島はこうした相手にごまかしは一切通用しないと思った方が良い。全力尽くしても勝てないかもしれない。それでもできることを全てやらなければ、勝利は転がり込んでこない。

1.これまで積み上げてきた守備の徹底を

福島はここまでJ3リーグで3失点と、リーグ最少失点である。そのうち流れの中からの失点は1。残りはセットプレーである。10試合やってこの数字なのは誇るべき数字だ。

福島の守備は基本的に決して後ろにべた引きとなるような形ではない。DFラインから最前線までをコンパクトにして、相手の立ち位置によってスライドし、時と場合を見定めてマークを捨ててボールホルダーにチャレンジする。これを90分間徹底できているからこそ、この失点の少なさである。

浦和が相手でもやることは全く変わらない。ただ、シンキングスピードを速くしなければ、相手にあっという間にゴール前まで運ばれて失点を喫してしまう。いつもよりワンランク上の判断が求められると言って良いだろう。

MF江坂任のような技巧派や、仙台大出身のMF松尾佑介などスピードに乗った切れ味鋭いドリブルを持つ選手など、さまざまなタイプの攻撃陣がいることも対応を難しくする。こちらも雪江悠人のスピード、大武駿、堂鼻起暉のフィジカルの強さなど、DF陣の個性を生かしながら対応していかねばならないだろう。

2.ワンチャンスを決めきれるか

恐らくは相手の方がボールを保持する時間が長くなる試合となるだろう。攻撃陣も守備で体力を消耗する中、ワンチャンスを決めきっていかないと、勝利は遠のいてしまう。

FW陣にかかる負担は大きくなるのだが、一つ言えるのはコロナの影響でシンプルな戦いをせざるをえなかった天皇杯いわきFC戦は今回の戦いとシチュエーション的に近くなるかもしれない。

相手は恐らく前掛かりになってくるので、サイドチェンジをうまく使って、空いたスペースにどんどん入り込み、得意のクロスボールからゴールを狙う形を出していきたい。一つでもこれが決まれば、相手の動揺を誘うことができるであろう。

そのためにはチーム全員同じ絵を描くことが重要だ。同じ絵を描けず、FWが孤軍奮闘するようだと、DFアレクサンダー・ショルツやDF岩波拓也など屈強で個人能力の高いDFを揃える浦和から得点するのは厳しい。守備だけでなく、攻撃でもチーム全員の意思をしっかり合わせることが重要だ。

3.交代枠も有効に使いたい

天皇杯は延長戦やPK戦もあることから、交代枠を使うタイミングも通常のリーグ戦とは異なる形になる。延長戦まで交代枠を残すことも可能である。

福島は中2日でこの試合に挑む。ある程度ベストメンバーを揃えて臨むことは、既に服部年宏監督は公言している。会津での宮崎戦も暑さの中のタフな試合になったので、浦和にある程度走らされる時間が長くなると予想されるこの試合では足が止まるのがいつもより早くなるかもしれない。

活動量が落ちてきた選手に関しては、なるべく早めに交代策で手を打ちたい。服部監督も難しい選択を迫られる場面が試合中何度か出てくることだろうが、大胆な決断に期待したい。


天皇杯は下位カテゴリーのいわゆる「ジャイキリ」の多い大会ではあるが、そんなに甘いものではない。J1クラブに勝つのはそれ相応の努力と、運も必要だ。非常に難しい試合になるのは間違いない。10回試合をやって1回勝てるか勝てないかという相手かもしれない。それでもわずかな可能性があるのであれば、それに向かって全力で戦わなければならない。

それで負けたとしても、上のカテゴリー相手に何が通用して、何が通用しないのかを学ぶことができる。福島は若い選手が多い。絶好の学びの場を生かさない手はない。全力でこの試合に挑むことで、学びが大きなものになる。ぜひこれまでの積み上げを全て出し、全力を尽くして欲しい。

また、選手、サポーターのみなさんにはぜひサッカーの街・浦和がつくり出す雰囲気を感じ取ってもらいたい。福島はまだサッカーが根づいている街ではない。サッカーを知っている街というのはどういうものなのかを学ぶ場でもある。

本当に貴重すぎる機会だ。素晴らしいクラブと戦えることに心から感謝し、全力でぶつかっていこう。

(本日の試合後コメントは福島ユナイテッドFCオフィシャルサイトに掲載となりますので、そちらをご覧ください。6月2日昼頃は天皇杯2回戦浦和戦レビューを、夕方にはJ3リーグ第11節藤枝戦に向けた選手コメントをお送りいたします)

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