秋田サッカーレポート

【無料公開】シンポジウム「秋田の未来に必要なスタジアムとは? 〜北米スタジアム視察と日本におけるスタジアムの現状〜」議事録

 

国内のスタジアム整備について

永廣さん:先ほどもちょっと言いましたけれども、FC今治のアシックス里山スタジアム。これは基本的にはいま、岩瀬社長からもお話ありましたように。いまのJ3でこの間の自動昇格というのはJ2昇格ということになったんですけれども。まず5000席以上確保して、そこに屋根がかかってればJ3基準を満たすということも踏まえて。

コンセプトはこれ別に手を抜いたわけじゃなくて、作り込まないというコンセプトで実はスタジアムの計画をしているのと。それによって成長するスタジアムになっていくだろうということで、J3、J2、J1と上がっていくに従って成長していくのも踏まえて、人々とともに成長していくということで。作り込まない中でも、このちょっと左側の写真にありますように、周辺に余白を作って更新性とか、そういったことも踏まえて発展するスタジアムになるような形で計画をしている内容です。

いくつか視点がありまして。ビジョンが非常に明確なのでこのビジョンに沿って初期、基本計画をやってるんですけども。ちょうど八橋は秋田駅からだいたい車で11分とか10分ぐらいですかね。距離的にはなんとなく駅からは近い。アシックス里山スタジアムも駅から近いんですけれども、このスタジアムができたことによって劇的に、核ができたことによってみんなのディスティネーションというか、FC今治は岡田武史さんが会長を務められておりまして、そこに集まる場として町が変わっていったということは、関係者の方から聞いていたんですけれども。街自体が変わっていって要因になっているということで。

永廣正邦さん 株式会社梓設計 専務執行役員プリンシパルアーキテクト

居場所を作ったことによって日常的にも非常に人が集まってきているのと、自分たちのサッカー専用スタジアムなので試合的にもかなり盛り上がっていくという形でその心のよりどころみたいなことで非常に徹底していくということ。こういった形で周辺も開かれた形で作り込まないっていう形の中でいくつかその人が集まる場は当然作っているんですけれども。そういった形でオープンな作り方をしているという事例でございます。

これは地域によって当然作り方が違うので、この今治に合った作り方ということでご説明を差し上げている段階です。多様な居場所みたいなことはあるんですね。あと地域の人とのつながりを生む仕掛けみたいなのが結構ありまして。ここではブドウ畑みたいな形のものとか、市民の活動の場を非常に提供されていて。常に何か活動が行われている。それも自発的な市民活動が行われていく中で関わり続けてスタジアムを共に育んでいくという活動を行っております。先ほどの岩瀬社長のお話もありました。こういった形で周辺も含めて人の集まる場を形成しているということでございます。こういったイベントも数多く行っています。

地域の課題解決と地球環境に配慮みたいなことで、このスタンド…鉄骨ユニットスタンドっていうふうにありますけれども。鉄骨ユニットスタンドとこの黄色い土盛りスタンドって書いてあるんですけども。土盛りスタンドで構成してるんですね。これ実は掘削機を利用して土盛りのスタンドをローワーっていうか低層部のスタンド造成に使っているのと、一般の観客席は鉄骨ユニットスタンドということで。要は減築も増築もしやすいユニットスタンドを使いながら将来の成長に合った形で構成しております。

簡単にお見せするとこんな形になっておりまして。今度はJ2に上がるということが決まったので、どう増設されるかっていうのが今後の計画になるんですけども。10,000席モードと15,000席モード、それぞれの当初から設計をしといて、基本的にどうなるかはその場その場で決めていくということもあるんですけれども。そういった形で将来性を見込んだ形の拡張性みたいなことを見据えながらやってるということで。歴史も変わってきたので、まさしくこの考え方がいま合ってるなと思っておりまして。5,000席でその地域にあってればいいという条件も出たので、非常にいまからクラブチームによってはその負担が少なくなって、地域に沿った形でスタジアムができるんじゃないかと可能性を感じてるところです。

 

岩瀬社長:まさに時代とともに成長する、可変式っていう形ですよね。アメリカ視察でもオーナーたちがスタジアムのときに言ってたのは、あんまり作り込みすぎないのがいいっていうお話があったときに、構想からとてつもない年月がかかるんですね。基本設計から実設計があって、建設ってなると最低でも4、5年がかかるので。

4、5年考えますと結局時代が一回りしていくわけです。なので、ある程度余白を残した形でその時代その時代に合ったものを作り込んでいくというのは非常に重要なコンセプトかなと思います。もうひとつ、このユニットスタンド。これ素晴らしいですね。これ釜石でも確か。

 

永廣さん:そうですね。法的に突破したのは釜石が初めて。

 

岩瀬社長:家具扱いか何かで確か。

 

永廣さん:そうです。家具扱いでやらせていただいてます。

 

岩瀬社長:いわゆる土間になってるんですね。国体なんかで仮設スタンドがあるじゃないですか。あれが土間に設けられる感じになっていくというような形で。なので先ほど言ったように増設もできれば減らすことも可能というような形でございます。やはり今治、来年J2に上がってきましたので。岡ちゃんこと岡田武史さんとまさに同じ舞台で戦えることを本当に楽しみにしている次第です。

先ほど、今治のケースで街が変わったっていうお話があったと思います。最新の情報をここに詰め込んでいます。メディアの皆さんにこれ初めて公開される情報ですけども。実は県外からのお越しになられてる方々、「秋田人口減少の中でこれからどうやって維持していくの?」ってなると、関係人口、交流人口をいかに増やして秋田のこの富んだ魅力を発信できるかっていうのは本当にポイントだと思うんですね。そういった意味で言うと今回、データが取れてるだけで言うと、アウェイツーリズム、敵チームのお客さんにプラス、ウチの選手のファンでも、県外からお客さん 連れてくるんですね。というよりも、前にいたクラブからファンを連れてきてくれます。

そういった部分も含めて考えますと、今回出た数字がなんと9,770名でございます。ここに相手チームの関係者だったり選手たち、Jリーグの関係者、審判団含めますと大体プラス800人ぐらいになるかなと思いますので。ブラウブリッツ秋田を通じて1年間にいま、1万人を超える方々が秋田にお越しになられているというような状況でございます。次に秋田の観光も含めて経済的な効果も大いにあるんだなということがこのXの調査なんかでもわれわれがいつも調べておりますけども。やはり秋田県外のサポーターの皆さまは、より本当に秋田の全域の観光を楽しんでいただいてるなという風なところが見てとれるかなと思っている次第です。

小原さん。次に手法の部分ですね。県議会、市議会の方でも議員の皆さまに色々言われますのが、その事業主体であったり、秋田に合った手法ってどれなんだい?っていうようなことで。ちょっと他の自治体等々も含めた具体例をここでお出しいただければなと思います。

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